薄いアイデンティティ
自分自身であることを不変的に示すことに重きを置いていないさま。
Thin Identity.
例1:
アカウント名や表示名を気分で変える、特にアイデンティティとは結びつかないネタ的なものを使う
アカウント名を適当に親しみやすいものにする
たとえば食べ物の名前
アバターその他プロフィール画像として「他人がつくった」「気に入ったもの」を使う
アニメキャラを設定するエンジニア、推しているアイドルを設定するオタク、自分が好きな食べ物や動物のイラストや写真を設定する人など
仕事や立場上必要な場合を除き、プロフィールをつくらない
例2:
管理人(stasta.icon)は薄くないでしょう
staや/stao/staなど必ず自分自身のページをつくります
個人サイトやnの質問など、詳しいプロフィールをつくります
このハンドルネームは丹精をこめてつくっています。また適当な食べ物の名前をつけるような人達の心理が全くわかりません etc
概要
アイデンティティを軽視する、少なくとも重視はしないあり方
典型的にはアカウントを見ればわかる
自分自身(アイデンティティ)を示すことに興味関心やインセンティブを持たない
自分でつくったものを使わず、自分が好きなものやそのとき思いついた適当なもの(しかし無難に通じて悪目立ちしないもの)を使う
薄いアンデンティティに出やすい特徴
ASD的-ADHD的で言えば、ADHD的
内向よりも外向、退屈よりも多忙、孤独よりも社交
友人やパートナーがいるか、一時的にいないことはあるが再開する
利他的で貢献的
自分が~私が~というよりも、むしろ自分を殺してでも周囲に応える
自分の思うようにやりたいというよりも、周囲の何かに絡もうとする
わかりづらいですが、たとえば新しい趣味がほしいとき、自分であれこれ考えてこれにしようと判断するよりも、まずは周囲のことを思い浮かべたり探ったりして「これならこの人達に絡めそう」といった考え方をすると思います。関係面で実利的とでも言えばいいのでしょうかsta.icon
自己主張は控えめ
しかし発散は必要なので裏アカウントなど専用の役割や場所をつくってそこでやります。友人やパートナーがいる率が高いのも、この機能が必要だからだと考えられますsta.icon
意義
薄いアイデンティティに自己主張や自己開示を求めても効果が薄い
できないし、やらない
自分を示すことが苦手だったり、想定していなかったり、できるにしてもインセンティブが弱い
やるにしても、仕事など立場上示しておく必要がある場合に最低限整備しておく程度
そういう特性だと理解するくらいでちょうど良いと思います(し実際に特性面が影響しているケースも多いと思います)sta.icon
よって、直接出させるのではなく、間接的に出させる方が良い
もちろん警戒も強いので、間接的に出してもらえるような(そもそもそういう場に出向いてもらえるような)立ち回りが必要 → 短期では済まない信頼関係の構築が必要となる
端的に言えば「友達」になれないと主張や開示はしてもらえない、と考えて差し支えないと思いますsta.icon
Q&A
Q: アロセントリックとの関係は?
Ans: わかりません
個人的には関係ないと思っています。たとえばエゴセントリックのASDでもアイデンティティが薄いケースは容易に想像できます(高IQでひたすらコンテンツを消費&社会には最低限の露出で擬態している人)し、同様にアロセントリックであってもアイデンティティが強い(目立ちたがり屋の人などSNSでは珍しくありません)人もいくらでもいるでしょう
Q: 自己顕示欲と同義ではないか(つまり単に自己顕示欲が薄い人というだけではないのか)?
Ans: いいえ
自己顕示欲の充足はアイデンティティに頼らないこともあります。たとえば借り物の力で顕示できてもいいとする人は、アイデンティティが濃いわけではありません。哲学的な議論に踏み込むこととなりますが、自己顕示欲とは「自分の手で」影響を与えたい欲であり、その手段は問うていません
以下マトリックスで言えば、自己顕示欲は1と2です。そのうち濃いアイデンティティが当てはまるのは1だけです
table:t
ありのままの自分で影響を与えたい 何の手段を使ってもいいので影響を与えたい
反響は自分にほしい 1 2
自分でなくてもいい 3 4
逆に薄いアイデンティティだと2か4になるでしょう。反響には報酬も含みます。たとえば昇進欲求が強い人や給与をガンガン増やしたい人は2です
開発秘話
賢くやりとりするには、さっさと自己主張や自己開示をすればいいですが、これほど啓蒙の進んだ現代であってもなぜかできない・やらない人が多いです。スキルや宗教観など、何のファクターが絡んでいるかこれまで調査してきましたが、ようやく「これだ」と思えるものが見つかりました。アイデンティティです。ここでは「自分自身であることに対するこだわり」とでも言えましょうか。私自身は明らかに強いので、疑っていませんでしたが、この度合いが人によって違いますし、弱い人もいることがわかってきました。また、それを測るには、アカウントがどうつくられているかを見ればいいこともわかりました。あとは名前ですが、アイデンティティという言葉で十分通じると思いますので、まず採用するとして、このアイデンティティがどうなのかと考えて、薄い(Thin)を採用しました
個人的には Thinidentity(シナイデンティティ)のようにかばん語にするのが好み(*1)ですが、やりすぎで意味不明なのでやめました
*1 厳密に言えば、かばん語ネーミング自体は好きではありませんが、ハッティング――短い形容詞をつけてかばん語をつくることは好きです。美しいからです