Whoism
「何」よりも「誰」で判断するあり方。
概要
典型的な例
「"誰" が言ったかが大事だよね」
「この人が言うならまあいいか、とかあるよね」
背景
1 人間は生来怠け者である
2 アロセントリックがマジョリティである
3 人間は認知力に限界があり、認知資源を節約したがる
ゆえに「端的に本質的な言語情報だけをやりとりすれば済む」のに、それができない・やろうとしない
かわりに公然の職権乱用を行って、親睦や非言語の混ざったダラダラであいまいな営みを平然と続けるし、端的な情報やその提案主も一蹴する
Q&A
Q: 政治用語ですか?
Ans: いいえ
Q: 権威主義と同義ですか?
Ans: いいえ
権威主義は政治学の用語ですが、カジュアルには権威(的な人間やルール)に従順なあり方を指すようです。Whoismは違います。Whoismは「何」よりも「誰」で判断するという愚かさを強調します。「誰」に権威的人間が入ることもありますが、それに留まりません。
Q: しかし「誰」が大事なこともあるのでは?
Ans: はい
たとえば質の高い「何」を素早く出せる有能な者はいます。そのような者は直近以降も同様に「何」の品質が高いでしょう、というわけで信頼できるので、「この人が言っているから」が起こります。専門家の意見や作家買いなども同様です。背景でも述べたとおり、人間の認知能力には限界があるので、このような節約は必須です
しかし、これをこじらせすぎると、面倒くさい「何」や都合の悪い「何」から目を背ける口実になります。若者や新人、部外者、女性その他マイノリティの意見を一蹴したりするのです
Whoismを脱するには
対峙。一蹴の対象となる相手からの「何」であっても、一蹴せずに向き合いましょう
三熟をしましょう
「何」に含まれている不明点は調べたり聞いたりしましょう
相手が「何」を出しているのだから、応えるべきです。「誰」次第で応えず一蹴するのは差別であり、人間のやることではありませんsta.icon
対処。向き合った上で、応えをぶつけましょう
相手の「何」が取るに足らないものであるなら、その旨をちゃんと伝えましょう
相手の出す「何」に価値がなさそうなら、その旨も伝えて、出してくるのを抑えてもらいましょう
もし相手が「何」を出すことが許されない状況であれば、その旨をちゃんと伝えて、納得してもらいましょう
予防。もし価値のない「何」を出す相手の出現や発生自体が多いなら、それを防ぐ仕組みをつくりましょう
これらをせず「新人が何言ってんの」などと一蹴するのは、典型的なWhoismです。「何」に見向きもせず、身内を優遇しそれ以外を冷遇するという原始的な動物に等しい、おおよそ現代人とは思えない所業です。人間でありたいのならば、頑張って脱していきましょうsta.icon
開発秘話
【コンサル→JTC転職】事業会社への転職でコンサルが失敗する理由3選 - YouTube
この動画を見て、「誰」ベースのあり方が非常にわかりやすいなと思いました。この概念は前々から扱いたかったので、ちょうどいいということでつくりました。「誰」を見ている、ということでWhoを持っていて、これに -ism をつける程度の雑な仕事ですが、それゆえわかりやすいでしょう
Whoismに抗えるのは非常に限定的な、ごく一部の人間だけです。コンサルタントの他にはITエンジニアくらいでしょう。ちなみにコンサルファームもSIerと同様、「そういう営みの責任や注意を負う保険的存在」の側面があり、それゆえWhoismに抗った物言いが許容されます。つまりコンサルタントが「何」ベースで振る舞えるのは、それが許される会社にいて、そのラベルが使えるからにすぎません
この概念は非常にインパクトが強く、多くの反感を買うことも予想されますが、それでも公開しました。私は「差別はなくならない」の原因は、このWhoismにこそあるとさえ思います。人類がWhoismに抗う術を獲得し、脱Whoistを増やせたのならば、それだけ差別も減ると信じています