(個別記事)第四章 「つくる漁業」と食料安全保障
著者:石川智士、伏見浩
第四章 「つくる漁業」と食料安全保障
漁獲量について
資源状態が良好な漁業資源は減少している(水産白書2017)
1974年:全体の90%
2011年:全体の71%
資源が枯渇している漁業資源は増加している
1974年:10%
2011年:29%
魚体サイズが年々小さくなっているという報告もある
水中の漁業資源は未知数のため、人為的な再生産がコントロールできず、ほとんど自然任せ
陸上の農業・林業などと異なり資源量を直接計測できない
産卵場や産卵期が分かっていない資源対象種が多い
マグロやウナギは膨大な研究がなされているにも関わらずまだ把握に至っていない
漁獲された魚体データに基づき統計をとり資源管理を実行すれば資源を守ることができるかもしれないが、発展途上国沿岸において様々な漁具・漁法によっておこなわれる小規模漁業については統計をとることが難しく、規制が生活にすぐ響く恐れがある
漁業は農業のように土地が要らない・工場労働者のように技術指導・教育を受けていなくてもおこなえるため、低所得者の最後のセーフティネットになっているとのこと
大したことないように見えて実は大規模・商業的な漁業と小規模漁業の漁獲量は同等で、世界の漁業従事者のうち90%が小規模漁業雇用なので、そう簡単には見過ごせない問題かも
高緯度海域の資源は熱帯や温帯と比べて種組成が単純のため、単一の漁具で効率よく漁獲できてしまう
沿岸部の藻場や砂場が荒らされた
秋田県沿岸のハタハタは禁漁・産卵床である沿岸の保全、卵の採取禁止など対策した結果資源が回復 過去の東京湾について
1960年代まで、春〜初夏は干潟に脚立を立ててキスを釣る人でいっぱいだった
ほかにもエイ、アサリなどがたくさん獲れた
1960年以降戦後の高度経済成長期に工業用施設や工業用地確保のために8割が埋め立てられて消失
藻場消失・貝類などの底生生物消失を招き、赤潮発生を招いた
最初の増養殖事業
明治9年(1876年)のサケ・マスふ化放流@茨城県那珂川が最初
その後明治21(1888年)北海道千歳市に大規模なサケマスふ化場建設
栽培漁業は昭和26年(1963年)に水産資源保護法の成立と瀬戸内海栽培漁業協会の創立から始まっている
その後昭和36年〜38年(1961〜1963年)に全国の大学、水産研究所、水産試験場が連携した「水産増養殖お種苗生産技術に関する基礎研究」により全国展開
クルマエビ、マダイ、ヒラメ、カレイ、アワビ、ホタテガイなどの種苗生産技術開発により実施可能な成果が出た
これが日本の養殖技術の基礎となり、ウナギやマグロなど世界トップクラスの養殖技術につながった