すしの思い出
1968年
鮓に使う鮪には種類がいろいろあって、中には時代の変化によって、価値が上下されたものもあります。たとえば、立ち食い式となった現在では、シビ鮪が高級品となっておりますが、明治や大正のころには、出前の鮓が主ですから、シビ鮪の肉は時間がたつと変色して黒くなりますので、一流を誇る店では、ほとんど使いませんでした。そして、時間がたっても色の変わらないカジキ鮪の一種である真カジキや、夏には、キワダ鮪などを主に使ったのです。したがって、シビ鮪の価格は、真カジキやキワダ鮪の下でした。
幕末の書、皇都午睡(西沢一鳳著、嘉永三年・一八五〇年)に、
はつノみヲまぐろ 上ヲきわだ 中ヲかじき 下ヲしび
と見えますから、幕末当時でも、シビ鮪は下級の方だったようです。
なるほど!?
肉の色が変色しちゃうから下等だったのか なるほどなあ
大震災以前には冬のシビ鮪がおいしいとか、夏のキワダ鮪がおいしいなどと、人によっていろいろ言われたものです。もっともそのころでも、新鮮で脂肪の乗ったメバチ鮪には、シビ鮪と見違えるほどの物もありましたが、しかしそれらはまれで、ほとんど肉が柔らかく持ち味も水っぽく、そのためにシビ鮪やキワダ鮪より一段味が落ちるとされていました。現在では、脂肪の多い少ないの関係や、また、おいしいキワダが近海で余り取れなくなったためなどから、シビ鮪は別として、キワダ鮪よりメバチ鮪の方が良いとされております。
クロマグロ・キハダ・メバチ(・ビンナガ)嗜好レース
江戸後期(1850年)
キハダ>クロマグロ
関東大震災(1923年)以前
キハダ=クロマグロ>メバチ
明治~大正らへん
出前ではクロマグロ使わずキハダを使った
1929年ごろ
1位カツオ、2位キハダとクロマグロ
ビンナガは身が柔らかくて美味しくないし安物として魚屋が使っている(個人の嗜好の可能性大)
トロ需要あり
1942年
関西、四国、九州ではクロマグロよりキハダが好まれた
メバチは不味いので日本における重要魚種はクロマグロ・キハダ・ビンナガの3種とされた
関西トロ需要なし、関東トロ需要あり
1968年
クロマグロ>メバチ>キハダ