最強に面白い!!睡眠
2023/4/1 09:36
2020/12/15 ニュートン
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目次
イントロダクション
1.ぐっすり眠る方法
2.眠りのしくみ
3.睡眠と関係があるおそろしい病
4.動物たちの睡眠と冬眠
イントロダクション
睡眠負債:
睡眠不足の状態が何日も続き慢性化した状態
2〜3日たっぷり寝たくらいでは解消しない
前払いで寝だめ、もできない
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適切な睡眠時間
「自分にとっての適切な睡眠時間」を知ることが大事
「睡眠日誌」を2週間ほどつけてみる
「休日、ふだんより2時間以上長く寝ている」場合は、睡眠負債が発生している
(間違いだが)平日の睡眠不足を休日で埋め合わせしようとしている
休日も平日と変わらない睡眠時間であれば、適切な睡眠時間。
ソーシャルジェットラグ:平日と休日とで、睡眠時間にズレが生じること
寝溜めはできない
平均7時間30分睡眠の人に「毎日14時間、暗いベッドで過ごす」という実験を行ったところ、3週間経過して「8時間15分」という睡眠時間に落ち着いた。
つまり、これがその人の「適切な睡眠時間」
適切な睡眠時間に調整されるまで3時間はかかかる、ということ。
朝型、夜型は決まっており、変えることは難しい。
クロノタイプ。遺伝により決定する。
個人の人生で、波はある。十代は夜型に偏り、4〜50代は朝型に偏る。
1.ぐっすり眠る方法
断眠は無理
ランディ・ガードナー:1964年に断眠を自分自身で実験。機能低下や幻覚を覚える。11日で終了。
幸い、ランディには後遺症が残らなかったが、他のケースでは後遺症もある。
睡眠を取ることで、学習が定着する
学習後、他の情報が入ってくる前に眠るのが良い
睡眠サイクル
1回のサイクルは90分
レム睡眠〜ノンレム睡眠(ステージ1〜3)を波のように繰り返す。
ステージ3のノンレム睡眠は、1回目のサイクルで多く発生する。なので1回目のサイクルが大事。
状態による脳波の違い
起きていて、目を閉じているとき:アルファ派
ノンレム睡眠ステージ1:小刻みの脳波
ノンレム睡眠ステージ2:紡錘波
ノンレム睡眠ステージ3:デルタ波
睡眠に適した環境
暗いこと
理想は、日が落ちたら家の中も暗めにする
メラトニンを破壊させない
静かなこと
特に「人の声」は覚醒作用が高い
温度、湿度がちょうどよいこと
エアコンをうまく使おう
入浴は寝る2時間前に済ませる
深部体温をうまいタイミングで下げるのが、眠るのに効果的
ぬるめのお湯に入り、出て2時間くらいすると、深部体温が下がってくるのでちょうど眠くなる
寝る前のスマホ/PCは厳禁
体内時計の基準値(マスタークロック)が、ブルーライトにより乱されてしまう。
昼寝は15〜20分が良い
「レム睡眠ステージ2で起きる」から
ステージ2を取ると、眠気は解消するし、快適に目覚められる
ステージ3まで行くと、不快な目覚めになる
一回の徹夜でアウト!
たった一回の徹夜でも、睡眠負債は発生する
徹夜テンションで頭が冴えるのは「眠れていない分、強い覚醒シグナルが脳で発生することがある」から
十分な睡眠をとるとスポーツの能力が向上する
恒常的にスポーツをしている人達に、より長く寝られる環境を与える実験をした。
最終的に、最初より110分長く眠るようになった。
スポーツの技能成績が向上。またストレスを感じにくくなった。
寝る子は育つ
ノンレム睡眠ステージ3で成長ホルモンが放出される
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2.眠りのしくみ
眠るための脳と目覚めるための脳
睡眠中核:眠るための機能
覚醒中核:目覚めるための機能
アデノシン:全身の細胞で作られ、睡眠中核を優勢にする
オレキシン:視床下部で作られ、覚醒中核を優勢にする
カフェイン:アデノシンの受容を妨害する
睡眠のための2つのコントロール
睡眠圧
体内時計
このふたつは、あくまで睡眠を説明するためのモデル
眠気の正体
「脳内にある80種類のタンパク質がリン酸化すること」が、眠気の正体?(2018年)
80種類のタンパク質=スニップスと呼称
覚醒していると、スニップスがリン酸化してくる
睡眠を取ると、スニップスのリン酸化状態が解消する
つまり、スニップスのリン酸化が解消するまでの時間が、その人に必要な睡眠時間
体内時計が生み出す一日のリズム
体内時計は、個人差があり、遺伝で決まっている。
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コルチゾール:覚醒ホルモン
メラトニン:睡眠ホルモン
細胞は、時を刻む遺伝子を持っている
すべての細胞ひとつひとつにおいて、PERタンパク質の増減が一日単位で規則的に起こっている
PERタンパク質の生成ON/OFFを司っているのがperiod遺伝子
時計遺伝子の違いで、眠り方に特徴が出る
「家系」で、夕方から眠くなる家系、朝になって眠くなる家系、などが実在する
3.睡眠と関係があるおそろしい病
睡眠時間7時間が、もっとも死亡率が低い
睡眠時間の長い人が死亡率高まるのは、そもそも病気で寝てないといけない事情があるから。
ショートスリーパー、ロングスリーパーは遺伝で決まる
後天的に成れるものではない
睡眠時間が短いと、太る(BMIが高くなる)
統計調査による裏付けがある
睡眠が不足すると、食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れ、暴食に走りやすくなる。
グレリン:食欲を増加させる。胃から作られる。
レプチン:食欲を抑制する。全身の脂肪から作られる。
十分な睡眠をとることで、ホルモンのバランスが正常になる
認知症の進行
アルツハイマーは、脳に「アミロイドβ」というタンパク質が蓄積することで神経細胞が破壊される。
夜、寝ている間にアミロイドβを始めとした老廃物が脳から洗い流される
グリア細胞が縮み、隙間ができるため。
不眠症
不眠症の原因となる3つのモデル
素因:年齢、性別、性格など
促進因子:不眠症を発生させるきっかけ。不安、災害などのストレス
持続因子:不眠症を定着させる行動。カフェイン、長い昼寝など
不眠症の4つのタイプ
入眠障害:寝付きがわるい
中途覚醒:途中で起きる
早期覚醒:予定よりずっと早く起きる
熟眠障害:時間自体は眠れているはずなのに、しっかり眠れた気がしない
睡眠薬には3つのタイプがある
GABAの働きを強める薬:安心させ、睡眠をもたらす
ベンゾジアゼビン系睡眠薬
トリアゾラム(商品名ハルシオン)
エチゾラム(商品名デバス)
非ベンゾジアゼビン系睡眠薬
ゾルビデム(商品名マイスリー)
ゾビクロン(商品名アモバン)
メラトニン受容体作動薬:メラトニンのニセモノとして働く
ラメルテオン(商品名ロゼレム)
オレキシン受容体拮抗薬:オレキシンの働きを阻害する
スポレキサント(商品名ベルムソラ)
レンポレキサント(商品名デエビゴ)
いびき/睡眠時無呼吸症候群/周期性四肢運動障害/むずむず脚症候群
途中で睡眠が妨げられるので、十分な眠りが取れない。
ナルコレプシー
オレキシンが生成できていない病気
夢遊病
睡眠時間の1/3くらいのタイミングで起きやすい
子供の10〜30%は一度は体験している
4.動物たちの睡眠と冬眠
イルカやクジラは「半球睡眠」を取る
脊椎動物、軟体動物、昆虫は眠る
冬眠
中途覚醒:冬眠中、周期的に起きて、体温も上がる
実は、冬眠中は寝不足で、中途覚醒のときにちゃんと寝ているのではないか、という説
人為的な冬眠を引き起こすことは可能。人間でも冬眠ができるかもしれない。
冬眠をすると「加齢が止まる」だけでなく「若返っている」かもしれない。
夏眠
暑い環境を乗り切るために活動を停止する生き物もいる
乾季を凌ぐために泥に埋もれる魚
カタツムリなども
読んでみて
「WHY WE SLEEP?」の内容と基本的に一致。
この本の内容は、W.W.S. に9割入っている。
この本の方が圧倒的に軽く早く読める。時間コスパという観点ではとても良い。
新しい気付き:
コルチゾールとメラトニンの関係
アデノシンとオレキシンによる睡眠/覚醒のバランス
睡眠薬の種類(主に3種類)
スニップスのリン酸化
冬眠中にも覚醒する/夏眠もある