エンジニアバブルとは何だったのか
2023/05/31
久松剛
note
目次
エンジニアバブルとは何か
エンジニアバブルを振り返り、構成要素を整理する
アベノミクス
ダイレクトリクルーティングブーム
DXブーム
外貨IT、外貨コンサル、コンサル
スタートアップブーム
「バブル」の特徴
バブルの中に居ると傲慢になれる
将来的なスタンダードか否かの区別がつきにくい
エンジニアバブルをどう捉えるべきなのか
費用対効果の高い組織運営をしよう
【求職者】何のために働くのかの明確化
【求職者】固定費
エンジニアバブルとは何か
2022年11月から、世界的な景気後退
超強気なエンジニアオファー、のケースが激減
堅い採用、高値採用をレイオフ、など
エンジニアバブルは、何度か発生している
また次のバブルも、ある形で現れる
過去のバブル例
ITバブル(1999-2000)
クラウドバブル(2010前後)
ソシャゲバブル(2010年代前半)
AIバブル(現在)
バブル:
エンジニアが売り手側で、提示される待遇が右肩上がりな状況
直近のエンジニアバブルは2015〜2022/10まで続いた
エンジニアバブルを振り返り、構成要素を整理する
アベノミクス
政府による景気施策
IT業界では「新卒採用」に異様に太っ腹になった
2015~2019。2019がピーク
2020年のコロナ禍で「学生接待」が実質できなくなり、終息。
ダイレクトリクルーティングブーム
日本の採用事情はガラパゴス化している。採用自体が「面倒くさい」ため。
カップリングサービスのノウハウが参考にされていた。
リファラル→友人紹介
人材紹介→お見合い
1on1イベント、座談会→街コン
スカウト媒体→マッチングサービス
カジュアル面談を目的としたスカウト媒体→デーティング系マッチングサービス
ダイレクトリクルーティング(仲介を使わない)ことで、双方に「とりあえず言ってみる」交渉が可能になった。
交渉さえ成功すれば高待遇を得られる。市場全体の基準を底上げする要因に。
DXブーム
少子化、雇用の難しさ、働き方改革、第三次AIブーム、等の相乗効果の期間。
2018〜
2022/10の「外資IT後退」の影響で、AI先行投資をしていた研究開発が解散する事例多い。
外貨IT、外貨コンサル、コンサル
コロナ禍、リモートワークで外資ITに高待遇で入るケースが増える。
逆のケース、海外メンバーが国内企業にリモートで入る、もある。
日本企業は簡単にレイオフできない点が魅力、らしい。
スタートアップブーム
2022年内にVCから大型着金があったかどうか、で顔色が違う。
2019年頃は、VCから「赤字オッケー」のサインが出ていた。
この頃は「学生スタートアップに、イケてるプレゼンだけで30万を融資する」等もあった。
投資家がお金を貸したくて仕方なかった時代。
2023年前半は真逆化
「赤字だと怖くて投資できません。スリム化してください」
2023年のスタートアップ企業、以下の色分けがされている。
大企業を客層にしているスタートアップ:比較的安定
スタートアップを客層にしているスタートアップ:かなり厳しい
「バブル」の特徴
バブルの中に居ると傲慢になれる
「この好景気が永遠に続く」と錯覚する。というか「それ以外の状況を知らない」。
予想の一部は当たる(=これからはITの時代だ!)が、見落としている点で足元を掬われる(=苛烈な価格競争)
バブルが弾ければ揺り戻しがある。
将来的なスタンダードか否かの区別がつきにくい
「バブルとなった事象」は、3ケースに分類できる
スタンダードになるもの
一時的なバズワード
局所的なマネーゲーム
スタンダードになるものでも、業界TOP3以外は大きな利益を上げることは難しい
エンジニアバブルをどう捉えるべきなのか
「7年に渡ったエンジニアバブル」のその後について
余韻を持って緩やかに下降、最終的に適切な待遇に落ち着く
費用対効果の高い組織運営をしよう
組織運営には、コストがかかる
「見合ったコスト」で組織を回していく意識が必要
アルムナイ:「同じ企業を卒業した人同士のつながり」
【求職者】何のために働くのかの明確化
「待遇」を軸に転職を繰り返す時代は、終わった
今後、現職を続けるのか、転職をするのか、フリーランスになるのか、「待遇以外の軸」で考えるべき。
【求職者】固定費
生活にいくら必要か、は把握しておく必要がある
バブル中は気にしなくてよかった
ファイナンシャルプランナーに相談するのは、良い手
読んでみて
業界を俯瞰した歴史を、キーワードとして語れるようになった。
業界年表:
ITバブル(1999-2000)
クラウドバブル(2010前後)
ソシャゲバブル(2010年代前半)
スタートアップブーム(?-)
アベノミクス影響(2015-2019)
DXブーム(2018-)
コロナ禍(2020-)
リモートワーク化
米国レイオフ(2022年11月)
AIバブル(現在)
採用に関する、さらに最近のニュース
米国レイオフ:GAFAを中心に。米国全体: 2022年11月 24万人、2023年1月 10万人
国内レイオフ:2023年6月 クックパッド。これは特例。