2023年に出た個人的に特に面白かった論文10選
1.ヒト,脳のしわ
2.サル,個体間ダイナミクス
3.マウス,メタRL
4.コウモリ,空間表現
5.ゼブラフィッシュ,方向表現
6.タコ,睡眠
7.コウイカ,擬態
8.ハエ,神経接続(物理)
9.センチュウ,神経接続(機能)
10.ロボット,深層RL
1. ヒトの脳内で信号はどのように伝播するのか?
脳内の情報伝達は神経細胞がワイヤーのように働くことによると考えられているが、どちらかというと"脳のしわ"(形状)が制約として働くことが重要なのでは?
Geometric constraints on human brain function | nature (2023)
2. 個体間で神経集団の活動パターンは保存されているのか?
同じ種類の動物は別個体であっても、類似した行動パターンを見せるが、これは同じ神経回路(活動)から生じているのか?
Preserved neural dynamics across animals performing similar behaviour | nature (2023)
3. 学習の仕方はどのように学習されているか?
我々は初見の課題であっても、今までの経験から素早く学習ができる。このメタな学習について、マウスはOFCでメタ強化学習をしているのかも
Meta-reinforcement learning via orbitofrontal cortex | nature neuroscience (2023)
4. 社会的(動的)環境における空間表現
物理・社会的空間が動的に変化する場合、海馬の神経活動はどのような表現になるのか?複数の自由行動下のコウモリの海馬からワイヤレス記録
Hippocampal representation during collective spatial behaviour in bats | nature (2023)
5. 自分が向いている方向はどのように表現されるか?
脊椎動物でも頭部方向細胞自体は見つかっているが、この特性はどのような神経回路の構造から生じるのか?
Neural dynamics and architecture of the heading direction circuit in zebrafish | nature neuroscience (2023)
6. ヒトと進化的に遠い動物でも"夢"を見るのか?
多くの脊椎動物は2段階の睡眠を行うが、脊椎動物と5億年以上も前に分岐したタコではどうか?行動と神経活動の両方からその可能性を検証
Wake-like skin patterning and neural activity during octopus sleep | nature (2023)
7. コウイカはどのように自分の姿を環境に溶け込ませるのか?
身の回りの模様と自身の模様にはどのような関係性があるのか?時間的にどのように自分の模様を環境に似せるのかにまで迫る行動研究
The dynamics of pattern matching in camouflaging cuttlefish | nature (2023)
8. ハエの神経細胞はどのように配線されているのか?
ショウジョウバエは約13万個の神経細胞を持つが、これらの全ての神経細胞同士がどのように物理的に接続しているのかを網羅的に調べた研究(コネクトーム)
Neuronal wiring diagram of an adult brain | bioRxiv (2023)
9. 線虫の神経細胞はどのように機能的に接続しているのか?
シナプスを形成していない神経細胞のペアでもシグナル伝達は起こる。細胞数が少ない線虫でこの"ワイヤレス"な接続を網羅的に調べた研究
Neural signal propagation atlas of Caenorhabditis elegans | nature (2023)
10. ロボットにサッカーができるのか
ヒトはその場面に適当な行動をスムーズに繰り出すことができる。この能力が求められるサッカーをDeepRLでロボットに学習させてみる
Learning Agile Soccer Skills for a Bipedal Robot with Deep Reinforcement Learning | arXiv (2023)