筆頭著者で国際誌に論文を出した(2025/11/19)
Subcellular Information Processing in Mechanosensory Non-Spiking Interneurons|European Journal of Neuroscience(2025)
コオロギという神経科学では珍しい動物を使っており、かつ気流感覚系という珍しい感覚モダリティを対象にしており、かつノンスパイキングニューロン(Non-spiking Neuron)という神経生理学をやっている人ですらあまり認識していない神経細胞の樹状突起レベルでの刺激応答特性について調べた論文
Naa_tsure.iconニッチすぎてこの論文に辿り着く人がほとんどいない
と思ったが、Xで大御所に紹介された
https://scrapbox.io/files/692d3602881532ffbccafc12.png
ということで、この論文を面白がるための前提知識を解説します
1. モデル動物としてのコオロギ
神経科学のモデル動物といえば、やはりマウス(mouse)かショウジョウバエ(fruit fly)である
これらは遺伝学的ツールが発達しており、神経細胞を種類ごとに計測/操作ができるので検証する問題がなんであれ何かと都合がいい
一方コオロギのような動物ではそのような行動な神経活動の操作などは難しい
しかし、本来実験動物は検証する問題に即して選ばれるべきである
モデル生物としてのコオロギの行動の面白さは主に2つ
歌による求愛行動
気流逃避行動