トム・ホーバスの「厳しい練習」は、日本人がやりがちな「根性練習」と何が違う? 日本代表を勝たせた外国人“鬼コーチ”が直面した日本の課題 - ラグビー日本代表 - Number Web - ナンバー
public.icon
細かいことにこだわる国民性なのに、ことスポーツの指導になるとそれが消えてしまうのは、日本のスポーツの大きな課題ですね。その原因は、どの競技の選手たちも中学、高校時代から長時間練習に慣れていることにあると思っています。
TH 練習に対する集中力を欠きがちですよね。
EJ その通りです。彼らは指導者から課される「根性練習」の中で育ってきています。すると、どうなるか? 選手たちは体力を温存し、配分しようとします。それは人間として当然の反応なのです。ジャパンを率いていた当時、ある練習で選手たちの集中力が散漫だったことがあり、私は「この練習に100%、フォーカスして欲しい。それができたら、この練習を終える」と告げました。そして実際、私はたった2分間で切り上げました。選手たちはキョトンとしていましたよ(笑)。
TH そうした発想は、日本ではあまり見ませんね。
EJ 練習は予定された時間が来たら終わるのではなく、成果によって終わるタイミングを判断するべきです。
TH 私も同じスタンスです。バスケのコーチたちは、Aという練習を10分、Bを5分、Cを3分と刻みがちなんです。まるで時間割のように。私は課題がクリアされるまで続けます。だから、ひとつの練習が予定よりも早く終わる時もあれば、2時間かかる時もある。エディーさんの言う通り、目の前の練習の密度を上げるには工夫が必要でした。