『虞美人草』
やっと読了した。
虞美人草は、ポピー、ヒナゲシか。
だんだん慣れてくるけれど、地の文が技巧的に凝っているので、けっこう読みづらい。会話の文はすらすらと読めるので、地の文を『坊ちゃん』並みとは言わぬまでも、『猫』ぐらい読みやすくしてくれていたら、この小説はもっと人気を博しただろうにと思う。
面倒くさがらずに地の文を読み解いて、会話文と合せて再構成してみると、物語の基本的な構造は意外とシンプルで分りやすい。夜のテレビ・ドラマの脚本にしたら受けるのじゃなかろうか。
「富貴」の神と「真面目」の神のどちらに付き随うのかというテーマ。単純化しすぎか?でも、まあ、そうなのだ。
それにしては、富貴でなければ許されない風流な趣味についての記述が濃厚すぎて辟易する。
また、物語にふさわしい結末を付けるように動いたのは、富貴でありながらも真面目である人たちであった、ということも、気になると言えば気になる。