『坊っちゃん』
とにかく読みやすい。先に読みやすいと言った『吾輩は猫である』の3倍読みやすく、『幻影の盾』などの小難しい文語体小説の10倍読みやすい。するすると蕎麦をすするように読める。 面白いか、と言うと、面白い。話の筋書きがすごく単純で分りやすいし、読者サービスが行き届いているので、面白い。
同僚の山嵐と二人、赤シャツ、野だ、狸などの小狡い愚劣な世俗勢力によって、ハラスメントを受けて退職を余儀なくされる。それに対する報復として、二人で鉄拳制裁の蛮行に及ぶという、単純明快ではあるが、ちょっと考えてみると、えー、それで良いの?という筋書きだ。
マドンナはね、ヒロインでも何でもなくて、ほんの端役です。
松山の人たちは、この小説の舞台となったことを誇りに思って「坊ちゃん電車」とかやったりしているけれど、うーん、あなた読みましたか?ということは思う。まあ、構わないけど。