『吾輩は猫である』
夏目漱石「吾輩は猫である」をナイトキャップがわりに読んでいるのだけれど、面白いですね。
中学生の時に読んで以来だから、半世紀以上経っての再読です。
澱みなく流れるレトリカルな地の文章が心地良い。読んでいる者が頭の働きが良くなったような気がする文体ですよね。思考のリズムが気持ち良いから、無理なく付いて行ける。
中学生の時も、はっきりと意識はしなかったけれど、この文体に惹かれたのだと思う。
今の私がもう一つ面白いと思うのは、漱石が猫に語らせることによって自分の中のネガティブな情動を理性による掣肘から解放して自由に発動させているように見えることです。
例えば、昨日読んだ所の、猫の運動の話。蟷螂狩りのくだりなど、かなりエグい嗜虐性が語られていて、猫の話だから何となく受け入れることが出来るけれど、これが人間の話だったら顔を背けるよなぁと思う内容です。
あと、庶民への共感の薄さも至るところで目に付く。これは教養の無い人一般に対する嫌悪の現れだと思うけれど。