戦術の本質 完全版: 進化する「戦いの原則」をひも解く
読了 2024-03-13
書籍情報
文脈
第1章 進化した「戦いの原則」
第2章 戦いの大枠を決める10項目の「作戦術 (Operational Art)」
第5章 指揮官の決断 〜 戦いのアート
旅団本部の幕僚組織
構造 (米国陸軍の例)
旅団長
個人幕僚 (先任上級曹長、法務官、医務官、従軍牧師)
副旅団長 (Exective Officer, XO): 旅団長の指揮・統制 (Command & Control) の補佐を行う
調整幕僚 (S-1 人事, S-2 情報, S--3 作戦, S-4 兵站, S-6 通信, S-8 会計管理, S-9 民事): 幕僚業務の主体を担う
特別幕僚 (火力支援将校、軍事情報支援プランナー (下士官)、旅団先任工兵将校、電子戦将校、空軍連絡将校、情報運用将校、防空・ミサイル防衛調整将校、気象幕僚 (空軍将校または下士官)、旅団航空将校、専任憲兵将校、CBRN 将校 (核、科学、生物)、知識管理将校 (ナレッジ・マネジメント)、広報幕僚プランナー (下士官))
指揮は指揮官の専権事項のアート
統制は幕僚が実施するサイエンス
旅団長の決断に必要な資料の準備
決断を作戦計画・作戦命令として具体化
作戦実行の監督・補佐
副旅団長の役割
幕僚全員の活動の統制、錬成
幕僚長としての役割もある
状況判断プロセス
Step 1: 任務の受領
起点: 上位組織による意思決定 (計画・命令) が与えられる、もしくはその予期
やること: プロセス全体の進め方の決定 e.g. タイムラインの設定 (いつまでに行動開始して、そのためにいつまでに判断を下すか、下部組織の意思決定にどれくらい時間を確保するか)
1/3ルール、2/3ルール: プロセス全体に対する持ち時間は旅団本部が1/3, 指揮下部隊が2/3
Step 2: 任務の分析
任務は具体的なやることの指示じゃないよ -> mission order
企図と達成すべき目標を指示して、達成するための実行手段の決定は委ねる
任務の意図を把握して旅団レベルでの作戦目標や企図を作成する
5Wの明確化
準備命令として下部組織や旅団の各幕僚に発出する -> 行動方針の作成や下部組織の準備の開始
Step 3: 行動方針の案出
行動方針 (How) の案出し
複数案あるといいね
満たすべき要件
任務の達成が可能
企図や方針に合致している
経済的バランスが取れている
実行可能
相対戦闘力の比較
有形 (人数、武装の数、 etc.) の要素だけで見積もってはいけない
無形 (士気、練度、 etc.) と合わせて総合的に評価する
実行するのは人間なのでね
Step 4: 行動方針の分析
案出された行動方針の長所・短所、問題点などを洗い出す
幕僚で敵味方に分かれて模擬戦
Step 5: 行動方針の比較
決定マトリクス (Decision matrix)
重視要因の選定・項目化をして比較表を作る
要因毎の比重の設定
Step 6: 行動方針の承認
最善とした行動方針の提出とフィードバック or 承認
旅団長の企図がここで決定する
部分修正や却下もありうる、ただの儀式ではないよ
指揮官の最も重要な義務は決断することである。それは、指揮官が腹をくくって "イエス" または "ノー" と言うことだ。幕僚は指揮官に情報を提供するが、幕僚はいかなることも自ら決断してはいけない (J.F.C フラー)
Step 7: 計画・命令の作成
既定のフォーマットで作戦計画・命令を作成する
機能仕様書を書く的な感じか?
後工程の時間の確保のために素早く意思決定をしようね
リスクの見積と管理
旅団本部ではベテランの先任将校、作戦幕僚、旅団上級先任曹長を防護将校として防護班を組織し、リスクの識別と評価、対策を決める
これまでに蓄積された知識やノウハウを活用する -> ナレッジ・マネジメント
情報見積 Intelligence Preparation of the Battlefield
情報収集の整理、状況判断の材料としての提供
常時継続的な活動
大隊以上では S-2 情報幕僚が担当
他の幕僚もそれぞれの専門領域について見積を行う
旅団では情報班を持つ
IPB, ISR として情報活動を一元化
情報班は軍事情報中隊と一体
TLP (Tloop Leading Procedures)
中隊以下の幕僚を置かない組織における指揮官・リーダーむけの指揮手順、問題解決法
METT-TC: mission, enemy, terrain & weather, troops & support available, time available, civil consideration
実働部隊間の連携やサポートに関する項目があるね
迅速な状況判断および同時進行プロセス
緊急時に踏む、意思決定プロセス
現行の作戦を続行しながら発生した状況に迅速に対処する
基本の状況判断プロセスのマスターが前提
「企図、任務、コンセプトの範囲内で、タイムリーで有効な解決策を求める」
ステップ
Step 1: 計画と現状の際の比較
Step 2: 修正の決断
Step 3: 行動方針の案出
Step 4: 行動方針の承認
Step 5: 実行への移行
マニューバ・ウォーフェアの OODA サイクルに似てるか?
ナレッジ・マネジメント
文書や教訓、ノウハウなどの暗黙知の蓄積を形式知化して軍全体で活用する
野中郁次郎の提唱
知識創造企業から一連の著作も読まないといけないな