全世界を異郷と思う者こそ、完璧な人間である。
故郷を甘美に思う者は、まだくちばしの黄色い未熟者である。あらゆる場所を故郷と感じられる者は、既にかなりの力を蓄えた者である。全世界を異郷と思う者こそ、完璧な人間である。
最近読んだ柄谷行人の『言葉と悲劇』に孫引きしてあったので、ひ孫引きになる。スコラ哲学者サン・ヴィクトルのフーゴーなる人の言葉らしい。サイードが『オリエンタリズム』で引用していると書いてあったので、読んだ記憶も引き写した記憶もあり、ノートをさがしてみたら、②と表紙に書かれたノートに、何も考えず、なんとなく気に入って引き写していると思われる暢気な字があった。