ヘム
"牛肉そっくりの「合成肉」でハンバーガーができるまで──奇妙な「科学」の裏側と、安全性を巡る攻防" バーガーをバーガーたらしめているものとは何だろうか? まずひとつは香りだ。そして味、食感などが相まって、動物的な何かをつくりだしている。独自の方法で互いに作用しているあらゆる種類のたんぱく質が含まれており、その構造は一種のパズルのようである。
だがインポッシブル・フーズは、食肉の本質はヘムと呼ばれる化合物にあると考えている。ヘムは、血液中ではヘモグロビン、筋肉中ではミオグロビンというたんぱく質に存在している。牛ひき肉においてヘムは、その色と、ヘム分子の鉄による微妙な金属味をもたらしている。 ヘモグロビンやミオグロビンは、グロビンと呼ばれる球状たんぱく質からなる。興味深いことにグロビンは、動物だけでなく植物のなかにもある。例えば、大豆の根粒(細菌との共生によって植物の根に生じるコブ)には、グロビンの一種でありヘムを含むレグヘモグロビンが含まれている。