フィジカルとデジタル
あるいは現代のプロメテウス
喫煙者と同じように、世の中にアナログ漫画家の生きられる場所はみるみる狭くなっていく。昔は大きめの文房具店ならしばしばスクリーントーンが買えたのに、今やごく少数のお店でしか買えず種類も限られる。若い編集者はB4サイズの生原稿のでかさに驚き、紛失や破損など余計なリスクを煙たがる。漫画家の「まあ色々と手間はかかるけどオレっちの自業自得だからよ」という居直りは嘲笑されるまでもなく、ただ周りに迷惑をかけ、価値観のアップデートを放棄した、無自覚で残念な老害の類型とみなされそう。 堂々と私が私の死を死ぬためには、できるだけ何ごともないかのような顔をして生きたい。デジタルに移行してないのに合理性がどうとシャバいことを言うつもりはない。こうなったら後悔したり謝ったら負け。どうせならペン先を火であぶるだけでなく、ライトボックスの蛍光灯で目をつぶし、稿料を現金書留で受け取り、ベレー帽をかぶり、部屋で逆立ちをし、共同の流しで水浴し、丸が描けなくなったと言いながら、2階の窓から抜け出して、どこまでいけるか試したい。
質量のあるなし