20231201
2024年度安藤ゼミナール第一次入室試験の講評
安藤ゼミの入室試験(第一次)を受けていただいた皆さん、ありがとうございました。今回、45名の学生に応募いただき、その中から11名が合格者として決定しました。
今回のようなエントリーシートや面接による採用試験を、これから皆さんは企業のインターンシップや就職試験などで数多く経験することになります。そこでどのような判断基準で合否を決めたのかを皆さんにも理解していただきたく、簡単に説明したいと思います。
1. エントリーシートの提出
まず期限を設けて、エントリーシート(ES)の提出をお願いしました。ここでは質問の意図を的確に捉えて、丁寧な回答がされているESを高く評価しました。一方で、期限までに提出がない学生、また質問として挙げられている内容のすべての項目に回答できていない学生もいました。
ESに記入する際には、このESを作った人が、それぞれの項目において何を知りたいと考えて質問をしているのかをまずは想像してみてください。その上で、ES を読んだ審査者に「会ってみたい」と思わせるような内容になっているのかを確認しましょう。その際に、嘘をついたり誇張したりする必要はありません。相手に伝わりやすくなるように配慮された文章であることが重要です。
またESを評価する人は、短期間に数多くの書類を読むことになります。どのようなレイアウトで、またどのような文章の長さでESに記入すると読みやすいかといった点に注意する必要があるでしょう。本文が明朝体なら、強調したいところをゴシック体にしたり下線を引いたりするだけで読みやすくなります。また箇条書きなどを利用しても良いかもしれません。
そもそもESは何のために提出するのでしょうか。場合によってはES単体で評価されるケースもありますが、今回の入室試験のように全員が面接対象となる場合には、面接時の参考資料として活用されます。そのことを想定して、面接で質問されやすいキーワードを入れておくといった工夫も効果的です。
2. 面接試験での質疑
まず会場となる教室に入るところから試験は始まっています。企業の採用試験などではなく学内のイベントなのでそれほど厳しいことは求めていませんが、やはり入室時に挨拶をして、自分から名前を告げて、面接担当者から「どうぞ」と声をかけられてから座る学生は自然と好印象を抱かれます。
面接担当者は、現役のゼミ生に依頼しました。そして応募学生の多くは、質問内容に対して簡潔に回答するなど、的確に行動できていたと思います。今回は10名程度の現役ゼミ生も面接に同席しましたが、多数の眼がある中で萎縮することなく、普通の受け答えができる学生が多かったことも評価できます。
まずは自己紹介と自己PR、大学で頑張ったことと改善が必要なことについてお尋ねしました。これらの質問については、ESの内容そのままではなく、より具体的な事例なども含めて説明してくれた学生は高く評価されました。一方で、質問に対して的確に答えることなく話が長い場合には、限られた時間を有効活用できなくなるという観点から不可避的に評価が低くなります。
大学生活で改善が必要な点については、例えば「授業をサボることが多かった」や「提出物の締め切りを守れなかった」という点を挙げてくれた学生が多くいました。正直なことは良いことですが、やはりそのような行動を取ったことを伝えられると、ゼミの活動についても積極的な参加は難しいのではないかという懸念が生まれます。よって仮にそのような改善点を挙げるなら、より具体的に「すでにこのような取り組みを行っている」といった説明も加えて、評価する側に安心材料を提供すると良いでしょう。
また改善すべき点がないという回答も見られましたが、自分を客観視できていないという評価に繋がります。自分をさらに向上させるために何ができるかという視点で回答すると好印象に繋がります。
他のゼミではなく安藤ゼミを選んだ理由についての質問も、多くの応募学生に対して出しました。この質問に対して、ゼミを選んだ理由として現役のゼミ生の雰囲気が良かったといった回答だけでは、高い評価は得られません。やはりこのゼミで扱う研究内容や活動内容を理解した上での回答がなされることが望ましいでしょう。
安藤が前期に担当した経済学入門を受講して、安藤ゼミにも興味を持ってくれた学生が多くいました。しかしこの授業をきちんと受けていたら答えられるはずの質問であるテーマパークの入園料と価格差別についての問いに的確に答えられない学生もいました。この場合には、やはり評価が低くなってしまいました。
最後に応募学生から質問を受け付ける時間を設けました。ここでゼミのホームページ等に掲載されている内容を質問されると、準備不足だと判断されてしまい、一緒に活動していく上で不安が残るという評価になります。応募するゼミが公表している資料は、少なくとも入室試験用に提供されているものについては、全て読んで把握しておく必要があります。
また質問がないという回答の場合にも、参加意欲が低いと判断される可能性があります。このような逆質問の機会は面接時に必ずといって良いほど設定されます。応募したゼミに関心があることを表現するためにも、質問をいくつか事前に準備しておくと良いでしょう。
3. 合格者の決定について
ゼミナール入室試験においては、企業の採用試験などとは異なり、学生に対してそれほど高い能力や意欲を求めてはいません。皆さんはまだ大学1年生であり、これからゼミの活動も通じて成長していくわけですし、そのためにゼミを含む大学教育があるからです。
しかし今回の入室試験では、ありがたいことに多くの学生に応募していただきました。そのため全員をゼミ生として受け入れることができません。そこで参加意欲が高く、またやりたいことが明確な学生、そしてこれまでに向上心を持って学んできたことが確認できる学生を選ぶことになりました。
ゼミは教育の場であり、また活動を通じてゼミ生のみなさんが主体的に学んでいく場でもあります。その際には、学生間での協力や共同作業がとても重要になるため、ゼミに参加して自分が成長するだけでなく、自分がゼミに参加することで周りの学生に対しても良い影響を与えられる、貢献できるとアピールしてくれた学生は高く評価されました。
評価基準は、ESの質問事項から推測することができます。応募先のゼミがどのような学生を求めているのかを理解していて、しっかりと準備していた学生は全員を合格としています。
4. おわりに
ゼミ入室試験の次は、インターンシップや就職採用試験でESや面接に向き合う事になる学生がほとんどだと思われます。今回、残念ながら合格とはできなかった学生は、2次試験への準備のためにも、この講評の内容をよく確認していただきたいと思います。また合格した学生についても、自分の事前準備や当日の受け答えについてぜひ振り返っていただきたいと思います。
全体として、言葉遣いがしっかりしているか、質問に対して丁寧な回答ができているのかは重視しました。先述のように、皆さんはこれからの人生で数多くの面接に直面することになります。ぜひ今回の経験を今後のために有効活用してください。
2023年12月1日 日本大学教授 安藤至大