20221203
2023年度安藤ゼミナール第一次入室試験の講評
安藤ゼミの入室試験(第一次)を受けていただいた皆さん、ありがとうございました。今回、8名が合格者として決定しました。一方で、残念ながら合格とはできなかった学生もいます。
今回のようなエントリーシートや面接による採用試験は、これから皆さんが企業のインターンシップを受ける場合や就職試験などで数多く経験することになります。そこでどのような判断基準で合否を決めたのかを皆さんにも理解していただきたく、簡単に説明したいと思います。
1. エントリーシートの提出
まず期限を設けて、エントリーシート(ES)の提出をお願いしました。必要な項目がすべて記入されているだけでなく、質問の意図を的確に捉えて、丁寧な回答がされているESは高く評価しました。一方で、回答欄に記入はされているものの、質問されている内容のすべてには回答できていない学生もいました。
ESに記入する際には、このESを作った人が、それぞれの項目において何を知りたいと考えて質問をしているのかをまずは想像してみてください。その上で、ES を読んだ審査者に「会ってみたい」と思わせるような内容になっているのかを確認しましょう。その際に、嘘をついたり誇張したりする必要はありません。相手に伝わりやすくなるように配慮された文章であることが重要です。
今回のESでは、例えば以下のような質問がありました。
「大学内外の部活やサークルに入っていますか。入っている場合には、(1)どのような団体でどのような活動をしているのか教えてください。また(2)活動の場所や頻度についても説明してください。」
この質問に対しては、団体名や活動内容、またどこで活動しているのか、活動の頻度のすべてに回答する必要があります。勝手な判断で一部しか記載しないのではなく、まずは質問内容に対して完全に答えているのかを確認することが求められています。
なおこの部活・サークルについての質問やアルバイトについての質問をしている意図は、課外活動の頻度によってはゼミの活動に十分に参加できない恐れがあるため、あらかじめ学生の活動状況を知っておきたいというものです。それに応じて面接時に確認できるからです。
2. 面接試験での質疑
まず会場となる教室に入るところから試験は始まっています。企業の採用試験などではなく学内のイベントなのでそれほど厳しいことは求めていませんが、やはり入室時に挨拶をして、自分から名前を告げて、面接担当者から「どうぞ」と声をかけられてから座る学生は自然と好印象を抱かれます。
面接担当者は、現役のゼミ生に依頼しました。そして応募学生の多くは、質問内容に対して簡潔に回答するなど、的確に行動できていたと思います。今回は多くの現役ゼミ生も面接に参加しましたが、多数の眼がある中で萎縮することなく、普通の受け答えができる学生が多いことも評価できます。
まずはESに書かれている内容について確認するような質問をしました。安藤ゼミを選んだ理由と自己紹介についてはすべての受験者に対してお尋ねしましたが、ESの内容そのままではなく、より具体的な事例なども含めて説明してくれた学生は高く評価されました。これに対して、ゼミを選んだ理由として主体性がなく、またできるだけゼミの活動に時間を割きたくないといった趣旨の発言をする学生は、一緒に活動していく上で不安が残るという評価になりました。
安藤ゼミでは、ゲーム理論やその応用についてしっかりと学んだ上で、現実の経済問題への応用を考え、また卒業論文を作成します。そのため、これまでの学習内容や理解度を確認する目的で、面接ではミクロ経済学Iの内容について担当教員から質問しました。この質問にきちんと回答できた学生は全員合格としています。一方で、基礎的な内容についても回答できない学生については、これまでの学習内容に不安を感じることにもなり、評価が低くなりました。
3. 全体を通じて
ゼミナール入室試験においては、企業の採用試験などとは異なり、学生に対してそれほど高い能力や意欲を求めてはいません。皆さんはまだ大学1年生であり、これからゼミの活動も通じて成長していくわけですし、そのためにゼミを含む大学教育があるからです。
それなのに今回の入室試験において、なぜ不合格者が出ているのでしょうか。ゼミは教育の場であり、また活動を通じてゼミ生のみなさんが主体的に学んでいく場でもあります。その際には、学生間での協力や共同作業がとても重要になるため、活動に参加する意欲が低いように見受けられる学生がゼミに参加することは、他の学生に対して悪影響があると考えるからです。
ゼミ入室試験の次は、一生を左右する可能性があるインターンシップや就職採用試験で面接に向き合う事になる学生がほとんどだと思われます。今回、残念ながら合格とはできなかった学生に限らず、合格した学生についても、自分の事前準備や当日の受け答えについてぜひ振り返っていただきたいと思います。
全体として、言葉遣いがしっかりしているか、質問に対して丁寧な回答ができているのかは重視しました。先述のように、皆さんはこれからの人生で数多くの面接に直面することになります。ぜひ今回の経験を今後のために有効活用してください。
2022年12月3日 日本大学教授 安藤至大