2022年度ゼミナール第一次入室試験の講評
安藤ゼミの入室試験(第一次)を受けていただいた皆さん、ありがとうございました。今回、6名が合格者として決定しました。一方で、残念ながら合格とはできなかった学生もいます。
このような採用試験は、これから皆さんが企業のインターンシップを受ける場合や就職試験などでも数多く経験することになります。そこでどのような判断基準で合否を決めたのかを皆さんにも理解していただきたく、簡単に説明したいと思います。
1. エントリーシートの提出
まず日時を限定して、エントリーシート(ES)の提出をお願いしました。必要な項目がすべて記入されているだけでなく、質問の意図を的確に捉えて、丁寧な回答がされているESは高く評価しました。一方で、回答欄に記入はされているものの、質問されている内容とはずれた回答も見られました。いきなり記入するのではなく、このESを作った人が、それぞれの項目において何を知りたいと考えて質問をしているのかをまずは想像してみてください。
また学生の中には、提出期限までの提出がなく、担当教員からの期間延長を知らせるメールにも返信がないケースがありました。連絡が不十分であったり遅くなったりする学生については、これから一緒に3年間の活動を進めていく上で、やはり不安があるという評価になりました。
2. オンライン面接試験の準備
オンラインでの面接ということもあり、なかなか普段通りの自分を見せることが難しかった学生もいるかもしれません。しかし準備段階でもできることはたくさんあります。
まず画面が暗くて表情が読み取り辛い、また音声が聴き取り難い学生がいたことは残念です。zoomを用いたオンライン面接を実施することはあらかじめお知らせしていたので、自分の環境において一人でzoomセッションを開始して録画・再生をしてみるなど、十分な環境であるか否かを事前に確認してみると良いでしょう。これは面接担当者と学生のどちらもが面接における質疑に集中できる状態を作り上げるために不可欠なことです。
なおパソコンのカメラやマイクの状況により、自宅では十分な環境を実現できないのであれば、大学の備品や施設を使うなどのアドバイスができますので、教務課または教員にご相談ください。
3. 面接での質疑
面接担当者は、現役のゼミ生に依頼しました。そして応募学生の多くは、質問内容に対して簡潔に回答するなど、的確に行動できていたと思います。
ただしESと同様の質問をした際に、ESの記載内容をそのまま読み上げた学生がいました。面接では、表現などは少し変わっても良いので、資料を読み上げるのではなく、相手を見ながら自分の言葉で回答する方が良い印象を与えることができるでしょう。
また質問内容によっては、回答するまでに時間がかかり、その間は無言になってしまうケースもありました。事前にどのような内容を質問されるのかを想定しておくと良いでしょう。
ゼミの活動において、ミクロ経済学の知識や考え方を多く使うことから、面接ではミクロ経済学Iの内容について担当教員から質問しました。この質問にきちんと回答できた学生は全員合格としています。一方で、自分が受けたミクロ経済学Iの担当教員の名前が答えられない、また基礎的な内容についても回答できない学生については、これまでの学習内容に不安を感じることにもなり、評価が低くなりました。
4. 全体を通じて
ゼミナール入室試験においては、企業の採用試験などとは異なり、学生に対してそれほど高い能力や意欲を求めてはいません。皆さんはまだ大学1年生であり、これからゼミの活動も通じて成長していくわけですし、そのためにゼミを含む大学教育があるからです。
それなのに今回の入室試験において、なぜ不合格者が出ているのでしょうか。それは、安易に全員を合格としてしまうと、自分の行動を振り返る機会がないからです。ほとんどの学生は入室試験に合格したら、「今回はうまくいったし、これで良かったんだ」と考えてしまうでしょう。
ゼミ入室試験の次は、一生を左右する可能性があるインターンシップや就職採用試験で面接に向き合う事になる学生がほとんどだと思われます。今回、残念ながら合格とはできなかった学生に限らず、合格した学生についても、自分の事前準備や当日の受け答えについてぜひ振り返っていただきたいと思います。
全体として、言葉遣いがしっかりしているか、質問に対して丁寧な回答ができているのかは重視しました。先述のように、皆さんはこれからの人生で数多くの面接に直面することになります。ぜひ今回の経験を今後のために有効活用してください。
2020年12月1日 日本大学教授 安藤至大