20210128副業兼業
欧州における議論と日本の議論の違い
そもそも副業・兼業を行う理由は、
お金のため
やりたい仕事だから
収入ダウンのリスク軽減
新たな技能を身につけるため
となっている。
副業・兼業に関するイギリスやドイツなど欧州における議論は、このうちリスク軽減や技能獲得に注目したものが主流であり、実証研究からも、より社会的要請が高く賃金が高い仕事にスムースに移行できる、また起業を促進するなどの視点から、政策的に推進すべきという形になっている。
これに対して日本企業では、このメカニズムが完全に同じには成立しない。なぜなら日本的雇用の下では、仕事内容を明確には特定せずに、柔軟な配置転換等が可能とされていることが多く、そのために副業・兼業を通じなくても複数の職種を体験することができるから。そのため副業推進の政策的介入をする必要はなく、あくまでやりたいと考えている労使の阻害要因を取り除くことが議論の主眼となっている。
しかし「長時間労働の抑制のために副業・兼業は望ましくない」というものや「本業で生活できる賃金を得られるべき」という労働側の主張、また「本業に集中して欲しい」という使用者側の主張は、副業・兼業が持つ正の効果を無視している。労働者のリスク軽減策や技能向上という面は労働者の利益のはず。
「労使の代表」の議論は、大手企業の労使の意見を代弁している。非正規雇用の労働者は内部労働市場における配置転換を通じた技能形成などはできない。
副業・兼業は長時間労働に繋がるのか
まず抑制すべき長時間労働というのは、ワークライフバランスの話ではなく、健康被害を起こしかねない長時間労働の抑制の話である。
週末起業などは雇用ではなく労働時間の通算等も不要で自由なのに、同じだけの時間を雇われて労働した方が良いという人の行動をどこまで抑制することが望ましいのか。
そもそも36協定による労働時間の管理の話は、特定の雇用主が長時間の労働を労働者に押し付けることを抑制するためのもの。労使には力関係の不均衡があり、労働者がNoと言えない可能性を考慮している。
これに対して、週末起業はいつでもやめられるし自分の判断で働き方を決められるというものであり規制の必要がない。同様に副業・兼業が雇用であっても、別に本業があれば無理な長時間労働を押し付けられそうになったら辞めるという選択肢を持つことになる。
副業兼業のガイドライン改正
本業の会社が兼業許可をする上での課題として、労働時間の通算があった
ガイドライン改正では、労働者側の申告ベースで把握していれば企業側としては良いという整理
影響についてはこれからの普及を見ることが必要