20200801費用最小化問題
問題
企業の生産関数は$ X=L \cdot K
賃金率は$ W=1で資本のレンタル価格は$ R=4
目標とする生産量が$ X=100のとき、費用最小化を実現する$ Lと$ K、またそのときの費用を求めよ
問題の設定を確認する
Step1
生産関数は$ 100=L \cdot K
等費用線(教科書p.70)の式は$ C=L+4K
この二つの式から、まず最適な労働投入量$ Lを求めたい
Step2
生産関数を意味が変わらないように書き換える。
$ 100=L \cdot Kという等式の左辺と右辺の両方を同じ数で割っても、等式の関係が変わらないので、$ Lで割ると、$ \frac{100}{L}=Kになる。この式は$ K=\frac{100}{L}と同じこと。
Step3
この$ K=\frac{100}{L}を等費用線$ C=L+4Kに代入する。
$ C=L+4\left( \frac{100}{L}\right)になり、これは$ C=L+ \frac{400}{L}ということ。
Step4
この等費用線の式は、労働投入量$ Lを決めると費用が$ Cという意味なので、うまく$ Lを選んで$ Cをできるだけ小さくしたい。まずは$ C=L+\frac{400}{L}を図示してみよう。
https://gyazo.com/bb3878e7ea199aa5309786ee1cdf2b0d
この図の横軸が$ Lで、縦軸は費用$ Cなので、図を見ると$ L=20のところで費用が最小になっている。このことを計算で求めたい。
2種類の計算方法
解き方1
Step1
$ C=L+\frac{400}{L}の右辺をうまく整理して、$ Cが最小になる$ Lを見つけやすくする。
$ L+\frac{400}{L}を通分すると$ \frac{L^{2} +400}{L}になる。
Step2
分子が二乗の形になるように整理したい。分子に$ 0を加えても式の内容は変わらないので、$ 40L-40L=0を加えると
$ \frac{L^{2} +400+40L-40L}{L}になる。
Step3
分子のうち$ L^{2}-40L+400は$ (L-20)^{2}と書き換えることができるので、全体の式は
$ \frac{L^{2} +400+40L-40L}{L}= \frac{(L-20)^{2}+40L}{L}=\frac{(L-20)^{2}}{L}+40になる。
Step4
定数の$ 40は費用最小化に関係ないので$ \frac{(L-20)^{2}}{L}に注目する。分子は二乗の形なので、分子がゼロのときにこの式の値が最小になる。よって$ L=20が費用を最小にする$ Lであることがわかった。
Step5
最適な$ L=20なので、これを費用の式である$ C=L+\frac{400}{L}に代入すると、$ C=40が得られる。また$ K=\frac{100}{L}に代入すると、$ K=5が得られる。
解き方2
Step1
$ C=L+\frac{400}{L}の式は、上のグラフで見たように下に凸の関数である。よって費用が最小の点では、傾きがゼロになっている。
よって$ L+\frac{400}{L}の式の傾きの式を求めたい。そこで導関数を計算する(高校までの用語では、「微分する」の方がわかりやすいかもしれない)。
Step2
商の微分のルール(割り算の微分のルール)(覚えていない人は→こちらなどで確認してください)を使うと、通分した$ \frac{L^{2} +400}{L}の傾きの式は、$ \frac{2L^{2}-(L^{2}+400)}{L^{2}}=1-\frac{400}{L^{2}}になる。 Step3
傾きを表す$ 1-\frac{400}{L^{2}}がゼロになる$ Lが費用を最小にする労働投入量なので、$ 1-\frac{400}{L^{2}}=0を$ Lについて解くと、まず$ L^{2}=400になるので$ L=20が得られる。
あとは解き方1と同様に考えれば良い。