全磁化
系全体の磁気的な性質を表す量。具体的には、物質中の全ての磁気モーメントの総和。
式としては、以下のように定義される。
$ M=\sum_{i=1}^nm_i
例えば、量子力学の文脈で「+z方向の全磁化」というと、以下のようになる
$ M = \sum_{i=1}^n\langle\psi| Z_i |\psi\rangle = \langle\psi| \sum_{i=1}^nZ_i |\psi\rangle
ちなみにここの$ Z_iは、i番目だけに作用する$ 2^n\times2^n行列であることに注意。例えば2量子ビットなら、i=1で$ Z_1 = Z\otimes I =\left( \begin{matrix} 1&0&0&0\\ 0&1&0&0\\ 0&0&-1&0\\ 0&0&0&-1\\ \end{matrix} \right)、i=2で$ Z_2 = I\otimes Z\left( \begin{matrix} 1&0&0&0\\ 0&-1&0&0\\ 0&0&1&0\\ 0&0&0&-1\\ \end{matrix} \right)となる。
3量子ビットなら$ Z_1 = Z\otimes I\otimes Iのようにやっていく
注意点
「$ |\psi\rangleの各量子ビットにZゲートを適用し、その期待値を測定する」というのは誤りである。
全磁化は、言うなれば「$ |\psi\rangleに対して、1量子目だけにZを適用し$ \langle Z_1\rangleを計算、2量子目だけにZを適用し$ \langle Z_2 \rangleを計算、…n量子目だけにZを適用し$ \langle Z_n \rangleを計算。そして、$ \langle Z_1 \rangle + \langle Z_2 \rangle + \dots + \langle Z_n \rangleを求める」。さらに正確には、Zゲートを適用しない。あくまでZと書いているのは、「固有値:$ 1、固有ベクトル:$ |0\rangle」「固有値:$ -1、固有ベクトル:$ |1\rangle」の性質を使っているだけである。