還元主義
生物学における基本的生命観の一つで,物理・化学的に不可解にみえる生命現象も,要素現象に分析・還元していって,これら要素の作用様式を解明することにより理解することができるとする立場。 近代生物学の流れが分析的理解を中心としてきたことは事実であり,たとえば遺伝現象は,DNAの二重螺旋構造へと還元されたともいえる。 ただし,ひたすら要素のみを強調することは要素間の関係を閑却視することになるので,生物学においては全体的視野も忘れてはならないとして,還元主義のみの強調を批判する立場もある。
なお,還元主義という用語は 20世紀後半,ことに 1970年代になってから頻用されはじめたもので,それ以前はこの語の示す立場は,機械論という表現の一側面をなしていた。