道徳性の発達段階説
水準1 前慣習の水準
段階1: 服従と罰への志向
罰せられることは悪く、罰せられないことは正しいとする。
「盗みは罰せられることだから、盗んだことは悪い」
段階2: 手段的欲求充足論
何かを手に入れる目的や、互恵性(相手に何かをしてお返しを受ける)のために、規則や法に従う。
「かれが法律に従っても、得るものはなにもないし、また、薬屋に何かの恩恵を受けたこともないから、盗んでもよい」
水準2: 慣習の水準
段階3: 「よい子」の道徳
他者(家族や親友)を喜ばすようなことはよいことであり、行為のそこにある意図に目を向け始める
「盗みや薬屋はもちろんのこと、家族や友人を喜ばすものではない。しかし、命を助けるために盗んだのだから、正しいと思う。」
段階4: 「法と秩序」志向
正しいか間違っているかは、家族や友人によってではなく、社会によって決められる。法は社会的秩序を維持するために定められたものであるから、特別の場合を除いて従わなければならない。
「法を破った点では、彼は悪い。しかし、妻が死ぬかもしれないという特別な状況にあったのだから、完全に悪いとは言えない。」
水準3: 脱慣習の水準
段階5: 「社会契約」志向
法は擁護されるべきであるが、合意によって変更可能である。法の定めがあっても、それより重要なもの(人間の生命や自由の権利など)が優先される
「生命を救うために、彼が薬を盗んだのは正しい行為である」
段階6: 普遍的な倫理の原理
生命の崇高さと個人の尊重に基づいた、自分自身の原理を発展させている。大部分の法律はこの原理と一致しているが、そうでない場合には、原理に従うべきである。
「生命の崇高という普遍的な倫理の原理は、どのような法律よりも重要であるから、彼が薬を盗んだのは正しい」