自己組織化
カオスの他にもうひとつ、複雑系のルーツを挙げると、それは自己組織性である。自己組織性とは、文字通り、自生的、自律的な秩序形成がなされることである。 自己組織性の歴史について、ブリゴジーヌを見て行きたい。彼が、「散逸構造論」を提唱したのは、1967年である。散逸構造とは、熱力学的に、平衡から遠く離れた状態にある開放系構造で、エネルギーや物質の流れが、非線形的に相互作用をしつつ、散逸して行き、その流れの中に、自己組織化が起きる現象を指す。例えば、味噌汁が冷えて行くときに、対流の中に自己組織化されたパターンが現れる。そういう例を挙げておく。 自己組織化を、非平衡で、非線形の開放系として捉えるため、エントロピーは一定範囲に保たれ、系の内部と外部の間でエネルギーのやり取りもある。すると、ここから、生命現象を捉えることが可能になる。まさに、生物は、定常開放系としてのシステムであるからだ。