協働的な学び
令和3年答申教育課程部会における審議のまとめでは「協働的な学び」について以下のとおり記載されています。 [脚注1]
探究的な学習や体験活動などを通じ、子供同士で、あるいは地域の方々をはじめ多様な他者と協働しながら、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、様々な社会的な変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となることができるよう、必要な資質・能力を育成する「協働的な学び」を充実することも重要である。
平成28年答申では、子供たち一人一人の豊かな学びの実現に向けた課題について以下のとおり記載されています。[脚注2]
学校は、今を生きる子供たちにとって、未来の社会に向けた準備段階としての場であると同時に、現実の社会との関わりの中で、毎日の生活を築き上げていく場でもある。学校そのものが、子供たちや教職員、保護者、地域の人々などから構成される一つの社会でもあり、子供たちは、こうした学校も含めた社会の中で、生まれ育った環境にかかわらず、また、障害の有無に関わらず、様々な人と関わりながら学び、その学びを通じて、自分の存在が認められることや、自分の活動によって何かを変えたり、社会をよりよくしたりできることなどの実感を持つことができる。
そうした実感は、子供たちにとって、自分の活動が身近な地域や社会生活に影響を与えるという認識につながり、これを積み重ねていくことにより、主体的に学びに向かい、学んだことを人生や社会づくりに生かしていこうという意識や積極性につながっていく。
こうした学校での学びの質を高め、豊かなものとしていくことにより、子供たちは、学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解したり、これからの時代に求められる資質・能力を身に付けたり、生涯にわたって能動的に学び続けたりすることができるようになる。全ての子供は、学ぶことを通じて、未来に向けて成長しようとする潜在的な力を持っている。
学習指導要領でも主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の中で、以下の事項に配慮するよう求めています。 [脚注3]
児童(生徒)が生命の有限性や自然の大切さ、主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働することの重要性などを実感しながら理解することができるよう、各教科(・科目)等の特質に応じた体験活動を重視し、家庭や地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う臨時休業からの学校再開後には、限られた時間の中で学校における学習活動を重点化する必要が生じましたが、そのような中でもまず求められたのは、学級づくりの取組や、感染症対策を講じた上で学校行事を行うための工夫など、学校教育が児童生徒同士の学び合いの中で行われる特質を持つことを踏まえ教育活動を進めていくことでした。
ICTの活用により、児童生徒一人一人が自分のペースを大事にしながら共同で作成・編集等を行う活動や、多様な意見を共有しつつ合意形成を図る活動など、「協働的な学び」もまた発展させることができます。ICTを利用して空間的・時間的制約を緩和することによって、遠隔地の専門家とつないだ授業や他の学校・地域や海外との交流など、今までできなかった学習活動も可能となります。
同時に、日本の学校教育がこれまで非常に大切にしてきた、同じ空間で時間を共にすることで、お互いの感性や考え方等に触れ刺激し合うことの重要性について改めて認識する必要があります。人間同士のリアルな関係づくりは社会を形成していく上で不可欠であり、知・徳・体を一体的に育むためには、教師と児童生徒の関わり合いや児童生徒同士の関わり合い、自分の感覚や行為を通して理解する実習・実験、地域社会での体験活動、専門家との交流など、様々な場面でリアルな体験を通じて学ぶことが重要です。