不便益
人工知能や進化論的計算手法をシステムデザインに応用してきたが、京都大学共生システム論研究室に配属後、人と人工物の関係を考え直し、「自動化」に代わるデザインの方向性を模索中。 科研(基盤 B) 2136019「不便の効用を活用したシステム論の展開」(2009-2013) 代表。
便利とは,手間がかからず,頭を使わなくても良いことだとします.
そうすると,不便で良かった事や,不便じゃなくちゃダメなことが,色々と見えてきます
好きな考え方mtane0412.icon
田舎は不便なので以下のアプローチが大事だと思ってる
不便な部分を便利にする
不便な部分から便益を取り出す(不便益)
あえて自転車に乗り続けている(いた)
運動不足が解消され20kg痩せた
自転車のメンテがある程度自分でできるようになった
もっと突き詰めると
雨の日は移動しづらいので、移動しなくても生活が成立するような生活デザインにする
雨の日に移動できる(車)ように便利にするとこちらのアプローチに至れない
田舎の訴求点として「不便なこと」が大事だと思う
便利でアピールする限り、都会には勝てない
田舎で暮らすことによる便益を最大化する
例
富士山の頂上に登るのは大変だろうと,富士山の頂上までエレベーターを作ったら,どうでしょう.よけいなお世話というより,山登りの本来の意味がなくなります.
ヒットを打てるように練習するのは大変だろうと,だれでも必ずヒットの打てるバットを作ったら,どうでしょう.これも同じですね.
私が子供の頃,遠足のおやつは300円以内でした.もし,自由に好きなだけおやつを持ってきても良かったとしたら,どうでしょう?遠足前日に半日をつぶしてスーパーをうろつき,自分ならではの組み合わせを考え抜いたのは,今思えば楽しい思いでです.
就職氷河期に,就活超勝ち組の学生がいました.コツを聞いたところ,新聞を取るのを止めたのだそうです.勝手に配達+口座引落しという便利方式を止めて,毎朝コンビニに行ってキャッシュで新聞を買う.これがコツだとのこと.
不便益は以下のことではない
「人工物に囲まれた生活の弊害」に警鐘を鳴らすトレンドではない
「昔の生活に戻れ」と主張する市民運動でもない
単なるノスタルジー でもない
不便益を活用するシステムデザインの指針を研究している
例
日常なにげないバリアをあえて作り込んで身体能力を衰えさせないという考え方(バリアアリー)と,それを実践しているデイサービス 安全を担保するのは道路側ではない.車線も標識も信号も取っ払って,安全の担保は人に委ねる道(シェアードスペース) 電動サポートや自動衝突回避などの便利機能をつけるのとは逆向きに,「自分の足で,漕げ」という車いす(Cogy) いまやスマートフォンやパソコンを使えば、いつでもどこでも簡単に調べものができ、友人と連絡を取ることもメールを使えば、すぐにできてしまいます。そうした結果、わざわざ図書館まで調べものに出かけなくても良くなり、便箋を購入し、筆を執る必要もなくなりました。一方で、図書館に調べものに出かけたり、手紙を送ったりすることで、違った価値が芽生えることがあります。それは少し見方を変えると、便利な暮らしが、これまでの工程をブラックボックス化させたとも言えます。そのブラックボックス化されてしまった行為が元々は与えてくれていたはずの効用に目を付けたのが不便益です。
京都大学のサマーデザインスクールで実施したワークショップで出たアイデアを形にした「素数ものさし」は不便益デザインの一例です。これは「頭を使わずに長さが測れるとは便利すぎる」という発想から生まれたもので、「測る時には計算が必要にしよう」と考え、目盛りを素数だけにしました。1センチを測るには2と3の間、4センチは3と7の目盛り間で測るというものです。