ホモ・フロレシエンシス
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ホモ・フローレシエンシス(フローレス人 Homo floresiensis)は、インドネシアのフローレス島で発見された、小型のヒト属と広く考えられている絶滅種。身長は1mあまりで、それに比例して脳も小さいが、火や精巧な石器を使っていたと考えられる。そのサイズからホビット(トールキンの作品中の小人)という愛称が付けられている。新種説に対しては、反論もある。このヒト属は、当初は12,000年前まで生存していたと考えられていたが、より幅広い研究の結果、最も近年の生存証明は、50,000年前まで押し上げられた。2016年現在では、フローレス人の骨は10万~6万年前のもの、石器は19万~5万年前前後のものであるとみなされている。 新たな分析結果によると、フローレス原人の骨は10万~6万年前のもの、石器は19万~5万年前前後のものである可能性が高いという。つまり、5万年ほど前にホモ・サピエンスがこの地域にやって来たのと、ほぼ同じ時期にフローレス原人は姿を消したことになる。
身長も脳も小さいフローレス原人について、ホモ・サピエンスが低身長症や小頭症などにかかったためであると主張する専門家もいる。しかし、トチェリ氏が2007年に行った分析では、フローレス原人の手首の骨の構造はホモ・サピエンスの骨との類似点がほとんどなかった。むしろ初期人類やチンパンジーのものに似ていて、ホモ・サピエンスとは異なる種であることが強く示唆されている。 現在は、フローレス原人はインドネシアにやって来た小型のヒト族の子孫、あるいは島にやって来たホモ・エレクトスが小さく進化したものではないかというのが有力な説になっている。これは「島嶼化(とうしょか)」と呼ばれるもので、資源の乏しい島で生きる生物が食料をあまり必要としない小さい体になっていく現象だ。リアンブア洞窟の発掘現場に小型化したゾウの仲間の骨が散らばっていることも、この理論に信憑性を与えている。 「長期にわたって問題なく生きてきた古いヒト属が、ホモ・サピエンスが現れた途端に絶滅するというパターンがあるのです。どういう理由かわかりませんが、ホモ・サピエンスは無敵なのです」とタッターソール氏は言う。 スミソニアン自然史博物館の古人類学者リック・ポッツ氏は、「今回の調査で一番興味深いのは、フローレス原人が絶滅に至った過程との関係です」と言う。「島集団は常に食料不足に脅かされているので、フローレス原人は自然に絶滅に向かったのかもしれません。たまたまそれが、近くにホモ・サピエンスがいた時期だった可能性もあります」