フラクタル理論
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自然界には全体と部分の形が似ているという自己相似性があるので、簡略化した数式の計算を繰り返すことにより詳細な全体形をつくることができるという数学理論。フラクタルの語はラテン語の形容詞fractus(壊れて不規則な断片ができた)から1975年に提唱者マンデルブロB.B.Mandelbrot(1924― )が名づけたもの。はじめは物理、化学、地理学などの形状解析に導入され、1982年IBM社のR.ボスがマンデルブロの協力の下、フラクタル理論を用いて、現実感のある惑星の風景をCG(コンピュータ・グラフィクス)でつくってから、コンピュータ関係者の注目を浴びている。 雲の形、山の起伏、動植物の組織など一見複雑な形でも、その一部分を拡大すると元の図形と同じになる自己相似性をもつものが多い。このような図形を「フラクタル図形」とよぶ。原図を分割してフラクタルの基本図形で表し、その各部を次々と縮小した基本図形で置き換えて塗りつぶす操作を繰り返すと、原図に非常に近い図形が得られる。CGではマンデルブロ集合、ジュリア集合などを用い、関数を次々と入れ子にし、描きだす。応用例としては、伝送時には各基本図形と組合せ法を少量の符号化情報で送り、受信側において組合せて復元すると、拡大に耐える原図が得られる。この場合、伝送時の情報量は少なくてすむ。[岩田倫典]