ジャン・ピアジェ
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スイスの心理学者
20世紀において最も影響力の大きかった心理学者の一人。 前期
中期
中期の研究は、乳児期の知能の起源の探究ならびに幼児・児童の基本的概念の形成の分析に向けられている。乳児の知能は、感覚運動的活動によって示されるが、生後2歳ごろまでに、この感覚運動的知能に論理構造が付与されていくし、物体の永続性の考えも身についてくる。そして、感覚運動的知能の内面化が進行していくことにより、イメージが出現し、表象的思考の段階に入っていく。この過程を、自分の3人の愛児たちの行動について、実験的に設定した場面のなかで組織的に観察することによって確証した。 また、幼児における数、量、時間、空間、速さ、偶然性などの基本的概念は、未分化で萌芽(ほうが)的なものにすぎない。これらが論理的に操作されるに至る発達の筋道を解明することも、この時期の彼の関心事であり、この研究を通して表象的思考期から操作的思考期への発達過程が分析された。操作的思考は6、7歳ごろ出現する。しかし、11、12歳ごろまでは具体物について論理的に推論することしかできないので、これを具体的操作とよび、命題だけで推論できる形式的操作と区別している。思考の発達を均衡化の過程としてとらえているが、この形式的操作はもっとも安定した均衡状態の思考とみなされる。そして、操作的思考構造を論理数学のモデルを用いて説明することによって、思考の発達のメカニズムを理論化しようと試みた。 後期
後期の研究は、主として発生的認識論の構築へと向かっていく。発生的認識論とは、科学的認識が発生し形成されていく過程を、個体発生および系統発生の両面から実証的に研究する科学である。この研究の集大成が、全3巻にわたる大著『発生的認識論序説』(1950)であった。しかし現代科学の認識の問題に取り組むためには、科学者たちとの学際的な共同作業を必要とすることを悟り、1956年ジュネーブ大学内に国際発生的認識論センターを創設し、各国から招いた科学者たちとチームワークを組んで、後半生の全精力をこの新分野の開拓に注いだ。これらの研究は、現代の心理学や教育学ばかりでなく、思想界全体に大きな影響を及ぼした。