カウンター・シェーディング
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三次元空間内に均一な色の球体があり、そこに光が入射したとする。すると上側は明るく、下側は暗く、端から端まで階調がつく(グラデーション)。この濃淡の模様があることで物体がまわりから区別され、目で見て発見しやすくなる。カウンターシェーディングの大枠が発見されたのは、1909年のこと、画家アボット・ハンダーソン・セイヤーによる。自身へ落とす影(セルフシャドウ)の影響の釣り合いをとるはたらきがあり、典型的には暗色から明色にグラデーションする。理論的にはこれは軍事迷彩に有用ではあるが、実際に利用されたことはほとんどなかった。その後この理論は実戦に応用されるが、第二次世界大戦中のこと、動物学者ヒュー・コットによってであった。 カウンターシェーディングという名がついている多様な体色の正確な機能については議論があるが、中でもハンナ・ローランド (Hannah Rowland) の2009年の発表によると複数の機能があるといい、一つには、横から見られたときに外見を平坦化させたり背景に溶け込ませる機能、上や下から見られたときに背景に溶け込ませる機能(上面と下面とで色彩が異なることになる)、もう一つは輪郭をぼかす機能である。他にも実証を得られていない様々な異説があるという。これに関連する手法として、カウンターイルミネーションがあるが、こちらはこれに加えて、背景の実際の明るさに合わせて生物発光の光をつくりだすものである。カウンターイルミネーションによる迷彩はイカなどの海洋生物でよく見られる。これも軍事利用を目的として船舶や航空機向けに試作段階まで研究されたが、実戦に投入されたのは全くと言っていいほど無かった。 カウンターシェーディングとは逆に、腹部に色素を増やし背中より濃くしてコントラストを上げ、そうすることで存在をより際立たせる動物もいる。これは身を守る能力を持った動物に見られる(スカンクなど)。こういった模様は、敵を驚かせるためのディスプレイとも、その危険性を知っている捕食者への警告標識ともとれる。その一方、常に上下逆さまで生活しつつ防衛が苦手な生物、たとえばサカサナマズやルナ・モスの幼虫では、カウンターシェーディングの色合いも逆さになる。