6-5. λファージ
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1) 増殖:溶菌サイクル
遺伝子構成
λファージ
48.5 kbの二本鎖線状DNAをもつ
遺伝子工学で最も重要なファージの1つ
DNAの一方の端約20 kbには頭部や尾部の形成にかかわる遺伝子、中央付近の約20 kbには組換え、制御等に溶原化にかかわる遺伝子、反対側の端10 kbには複製と後期の制御、そして溶菌にかかわる遺伝子がある
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中央部分の遺伝子は溶菌サイクルには不要であり、λファージ由来クローニングベクターは、外来DNA挿入のため、この部分を除いてある
感染からファージ形成まで
菌に付着したファージからDNAが細胞に入り、末端のcos(一本鎖粘着末端)が付着して環状となる
はじめθ型DNA複製が起こり、続いてσ型様式でDNAが複製して、多量体DNA(何重にも連結したDNA)が生成される
その後、遺伝子発現、翻訳が起こり、まずDNAが頭部殻タンパク質に包まれ(パッケージングされ)、尾部も形成された後ファージとなって放出される
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λファージDNAのパッケージングには2つの条件が必要
パッケージングはcosで多量体化したDNAがcosでの切断と共役して起こる
パッケージング可能なDNAサイズは38~52 kbの範囲
溶菌
パッケージングが終わって溶菌が起こるためには後期制御遺伝子と溶菌遺伝子(S, R)が必要
市販のファージベクターはSに変異があり、ファージが細胞内で高濃度に蓄積しやすいように工夫されている
2) 溶原化サイクル
λファージはテンペレートファージで、一定頻度で溶原化するため濁ったプラークができる
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細胞内で二本鎖環状化したDNAは、自身のatt部位にあるPOP'配列(attP)と宿主galとbioの間にあるBOB'配列(attB)の間の部位特異的組換えによって、宿主染色体に組込まれる
O配列は数塩基の共通なコア配列,
ファージのインテグラーゼと宿主のIHF(integration host factor)が関与
溶原化状態はファージのつくるCI(λリプレッサー)で維持されるが、不安定で、宿主がストレスなどを受けるとRecAによって分解される
するとファージタンパク質のCro(遺伝子はcIとcIIの間にある)が優勢になり、切り出し酵素(エクシジョナーゼ)が働いて、プロファージが切り出され、溶菌サイクルが再開する
溶原化と溶菌、どちらの運命をとるかは転写制御因子であるCroとCIのバランスで決まる
溶原化/切り出しにおける部位特異的組換えは、ゲートウェイクローニングでの酵素反応にも応用されている
memo: P1ファージとCre-IoxPシステム
P1ファージは約100 kbの二本鎖線状DNAファージで、末端部分にある重複配列(IoxPを含む)で環状化し(Creリコンビナーゼという組換え酵素がかかわる)、プラスミドとして安定化して溶原化する
100 kb程度のDNAも組み込むことができ、ベクターとしても使われる
CreとIoxPはねらったタイミングでゲノム遺伝子を不活化する(遺伝子ノックアウトする)操作として知られるCre-IoxPシステムでも使われる