3-1. RNA
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1) RNAとは
RNA(リボ核酸:ribonucleic acid)
DNAを鋳型として転写によって作られる
DNAに似た方向性のあう線状分子
DNAと構造上異なる点
一本鎖で存在する
ただ分子内で複雑な二本鎖構造をとって折り畳まれ、タンパク質に近い形状を持つことが多い
塩基はTの代わりにU(ウラシル)が、糖はリボース(デオキシリボースのように炭素2位に-Hがつくのではなく、-OHがつく)が使われる
DNAは細胞内で安定であるが、RNAは必要とされる遺伝子発現量に応じて素早く変動する必要があるため、合成効率は遺伝子ごとに調節され、つくられても比較的短時間で分解される
2) RNA機能の多様性
RNAの役割は実に多様である(とりわけ真核生物では)
RNAの主要な役割は翻訳
mRNA(messenger RNA)
タンパク質をコードするもの
mRNAは唯一のコードRNAで、それ以外はすべて非コードRNA(ncRNA)として括られる
翻訳にかかわる他のRNAとして、アミノ酸を運ぶtRNA(transfer RNA)とリボソーム構成要素であるrRNA(ribosomal RNA)がある
table: 表3−1 RNAの様々な機能
翻訳にかかわる タンパク質/アミノ酸をコードする(mRNA) コードRNA
翻訳にかかわる アミノ酸を運ぶ(tRNA) 非コードRNA(ncRNA)
翻訳にかかわる リボソームを構成する(rRNA) 非コードRNA(ncRNA)
翻訳以外にかかわる 酵素活性を持つ(リボザイム) 非コードRNA(ncRNA)
翻訳以外にかかわる 翻訳や転写の制御(eRNA, miRNA, siRNA, 種々のlncRNA) 非コードRNA(ncRNA)
翻訳以外にかかわる スプライシングの制御(snRNA) 非コードRNA(ncRNA)
翻訳以外にかかわる RNA編集(ガイドRNA) 非コードRNA(ncRNA)
翻訳以外にかかわる 物質結合性(アプタマーRNA) 非コードRNA(ncRNA)
翻訳以外にかかわる 複製のプライマー, ウイルスゲノムなど 非コードRNA(ncRNA)
3) 遺伝子発現制御脳をもつncRNA
ncRNAのなかには遺伝子発現制御能(多くは発現抑制. 一般にRNAサイレンシングという)を持つものがある
このなかにいくつかのタイプの塩基数20程度の小分子RNA(small RNA)が知られている
e.g. マイクロRNA(miRNA), piRNA, siRNA
人工的に作製したsiRNAは標的RNAの分解と翻訳抑制を介して遺伝子機能を抑える遺伝子ノックダウン実験に使用される
ncRNAの中には数百~数千塩基という長いlncRNAも存在する
そのなかのあるものはクロマチンへの結合を介してヘテロクロマチン化を誘導し、遺伝子発現を抑制する
e.g. X染色体不活性化に効くXist RNA
4) RNAのそれ以外の機能
物質結合性を持つRNA擬人化はアプタマーRNAというが、このなかにはRNA抗体として医療で使われるものも含まれる
酵素活性を持つRNAはリボザイムといい、多数知られている
このなかにはスプライシングやtRNAの成熟やアミノ酸の連結にかかわるものなどがある
RNAを特定部位で切断するハンマーヘッド型リボザイムをデザインして、これをRNA加工の道具として使うことができる
RNAはこのほかDNA複製のプライマーになるという普遍的な役割があり、さらにスプライシングやRNA編集ではガイド分子として振る舞い、RNAウイルスではゲノムとして使われる