2. 免疫学総論
https://gyazo.com/5cf480f304be95df6b05504855ff3fd5
1. 免疫とは何か
病気=疫を免れる
大昔から人は、ある種の病気に感染したらもう二度とかからないことを経験的に知っていた
19世紀末に、パスツール(フランスの細菌学者)によるコレラ菌の免疫の実験から、生体には「よそもの」を排除する機構が備わっていることが明らかにされ、学問としての免疫学が始まったと言える 免疫学に課せられた第一の疑問「免疫システムはどのようにして、自己と非自己を区別しているのか」
臓器移植の拒絶反応も免疫機序によるもので、生体が細菌等を排除する機構と同じような事が起きていることが、近年明らかにされている しかし、自分の臓器に対しては拒絶反応は起きない
すなわち、免疫機序の第一歩として、生体は自己と非自己を区別する機構を持っていて、細菌や他人の臓器等の非自己に対してだけ攻撃、排除するメカニズムが働く
生体の防御機構(広い意味での免疫機構)の分類
https://gyazo.com/44d447b5aa88c5a54d3f017a0f61fc09
獲得抵抗性: 後天的に獲得されるもの(狭い意味での免疫機構) まとめ
免疫とは何か
生体防御機構の一つであり、リンパ球が担う特異的免疫機構等が中心的メカニズムである
免疫機序により、「一度かかったら二度とかからない」といった現象が説明される
2. 抗原と抗体
いわば一連の免疫反応の最初の引き金
ある種の疾患では、自分の体に対して免疫反応が起きてしまうことが病態の本質になっている
自分の赤血球に対して免疫反応が起きると赤血球が壊されてしまう 自己抗体の出現は原則、病的な場合に限られる
https://gyazo.com/82a20c6e421fd662ebda5267f3e6c01f
抗体1分子は抗原2分子と結合する
また、定常部の違いにより、抗体は5種類に分けられる
最も多い
5分子が結合し5量体を作っている
2分子が結合し、2量体を作っている
まとめ
免疫反応の引き金が抗原で、細菌やウイルスの一部分等のタンパク質が抗原となる
これに反応して種々の反応が起きるが、その一つとしてその抗原に特異的に結合するタンパク質である抗体が産生される
産生された抗体は、抗原に結合することにより抗原を体内から排除する
3. 免疫に関与する細胞
T細胞とB細胞の特徴
positive/negative selectionを受ける
T細胞の種類
その際に液性免疫はB細胞が担い、細胞性免疫はT細胞が担うと言われることがあるが、大まかには正しいものの、いずれもT細胞・B細胞双方の相互作用が必要
3-1. T細胞
抗原と結合する抗原受容体として、T細胞受容体とそのシグナル伝達分子CD3を細胞表面に発現している さらに、CD4あるいはCD8分子の発現によりT細胞は2種類に大きく分けられる https://gyazo.com/2cc5b2aa5b7d9f0c64e8247c74bb81a0
CD4陽性で、ほかのT細胞やB細胞の働きを助ける
3-2. B細胞
B細胞のBは鳥類のB細胞が分化する場所ファブリキウス嚢の名前から来ているが、哺乳類では骨髄由来なので、bone marrowのBとも言われる B細胞は最終的に形質細胞に分化し、抗体を産生する
どんな抗原が侵入してきても、それに反応する抗体を作ることができる
これも免疫学に与えられた大きな命題だった
無数にある抗原に対応した抗体を限られた数の遺伝子から作るため、B細胞が前駆細胞から分化してくる際に免疫グロブリン遺伝子を再構成し、新たな組み合わせの遺伝子が作製され、抗原に対応した抗体を作る遺伝子ができる https://gyazo.com/3b0bda2f8e5f54a5bd3564f284a8e787
このメカニズムの詳細は省略するが、遺伝子が再構成を起こす事実は多くの研究者に大きな驚きを与えた
この機序の発見が利根川進博士のノーベル生理学・医学賞の対象になった まとめ
4. サイトカインと免疫
ホルモンと似ているが、産生細胞が無い分泌細胞ではなくリンパ球等の免疫担当細胞であり、短い時間特定の細胞にだけ働く点でことなる サイトカインは、免疫系や造血(血液細胞を作ること)のみならず、神経系や内分泌系にも働くことが明らかにされており、生体システムを統合する高次機能を担っているといっても過言ではない https://gyazo.com/c8b9b47482e4f14050b59df20f71b431
現在非常に多くのサイトカインが発見され、機能的な分類がなされている
免疫系に働く主なサイトカインの概要
→p.45-46
これらのサイトカインは相互に作用しあって(サイトカインネットワーク)、生体の恒常性の維持や外敵に対応する機構を構成している https://gyazo.com/6ee7ba9246eb2be6c73b99ec8cb7fffa
https://gyazo.com/cdf626b9638536f3e618aa0b70878c47
まとめ
5. 免疫異常とがん免疫
免疫反応は適切な抗原に対して適切な程度に反応する必要がある
また、自己認識機能の異常で、自分の組織に対して免疫機序が起きると、自己免疫疾患を発症する https://gyazo.com/2de2437bd1e9c9b59fc561db8a16c1ff
がん細胞は自分の細胞である(自己)であるが、免疫系はがん細胞のちょっとした違いを捉え(がん特異抗原等)自分でない細胞(非自己)と判断している このように微妙な反応が免疫反応の真骨頂と言える