Drivers circle
2026/04
mixed media
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路上に現れる円は、偶然ではなく、力の分布が円という形を選ぶ結果として生じる。坂道に存在するOリングは、雨天時でも車両がスリップしないよう、タイヤと路面の摩擦を高めるために設計された円形のパターンである。制度的な設計物であると同時に、力が最も安定する形としての「円」を利用した構造でもある。この人工的な円は、物理的な力を制御するために意図的に導入された、制度化された「力の形」である。力の作用点とその周囲のバランスが最も安定する形として現れる。
円は記号として「描かれる」のではなく、「力がそこに落ち着く」地点に現れる。
この構造は、人間存在でも見て取れる。私は東南アジアを度々訪れる中で見かけることがあった、ベトナムの道路脇の路上で展開されるGrab(東南アジアにおいて普及している配車アプリ)のドライバーの円(集会)とそういったドライバーを対象として営業されるヤッホイという民間療法について気がかりだった。Grabのドライバーは、都市インフラの余白(路上)を活用しながら集団で休憩を行い、非公式な「待機空間」を作り出している。それは都市の設計図には存在しないが、現実には不可欠な機能として成立している領域である。また、ベトナムの道路脇でドライバーが利用する民間療法のヤッホイ(吸い玉)によって皮膚に浮かぶ痕は、身体的、社会的ストレスを相殺するための方法であり、真空と皮膚の張力が釣り合った地点の“形”である。ここで現れる円は、物理的な重力とともに、身体に作用する社会的な力-労働の疲労、非制度的なケア、都市構造の偏り-と分かちがたく結びついている。
《Drivers Circle》では、路上に出現する円、つまりはOリング、民間療法による跡、そして Grab のドライバーたちが待機中に自然と形成する円などをモチーフとする。様々な円に対するイメージを路上から採取し、それを羅列することで、物理的レイヤーから社会的レイヤーまで様々な事象にかかるストレス、力関係を連想させることを目指す。Oリングは制度化された力の形であり、カッピングは身体に作用する圧力と制度の狭間に生まれる円であり、ドライバーの待機の輪は、都市インフラの余白に社会的な力が滞留する地点である。これらはいずれも、円という形を通じて、異なるレイヤーの“重力”とその対象が表面化している現象である。円はこのとき、力のバランスであると同時に、社会構造の歪みが浮かび上がる形。円というかたちを通じて、物理的・制度的・社会的な重力の分布を可視化し、都市と身体の間の摩擦を見るためのミクストメディア。
Photo: 阿部修一郎
https://youtu.be/D6DVv_qRuto?si=WE_kNz-SOPhRZVLS