社会契約説
それはひとことでいえば、王という特別の人物に権力が集中し、多数の人民がその支配に従わね ばならないのは、かつて、歴史の起源において、人民のほうこそ権力の集中を必要とし、相互に 「契約」を結び王を選んだからだという理論である。代表する論者が一七世紀に活躍したホッブズ とロックで、一八世紀のルソーも同じ思想を引き継いでいる。ちなみに日本の研究者のあいだでは、 その三人に共通する社会観を「社会契約説」と呼び、ルソーの著作のほうは「社会契約論」と区別 するのがならわしになっている。本論でもそれに従う。