t検定
2つの独立した群の平均値に差があるかどうかを検証する
その差が、偶然によるものか、統計的に異なるのかを検定する
なにがしたいのか?
「AとB、どっちかが良いと言えるのか? それともたまたま?」みたいなことを知りたい時に使うことが多い
e.g.
A/Bテストでボタンの色を青/緑で出し分け、滞在時間の平均を比較
「緑が効いた」のか「たまたま緑に当たったユーザーが長かった」だけか
新教材クラス vs 従来クラスでテスト平均点を比較
どういうことか?
データには必ずばらつきがあるので、2群の平均が「72点」と「70点」のように違って見えても、それが本物の差なのか、たまたまそういうサンプルに当たっただけなのかは、平均を眺めるだけでは分からない
そこで、観測された差が、「偶然のばらつき」で説明できる範囲を超えているかを判定する
2グループで、知りたいのが平均値で、その差が偶然かどうかを知りたい時に使う
ちなみに、3群以上ならANOVA、割合ならカイ二乗検定、のように分岐する
直感的には
2つの「分布」を重ねて、その離れ具合とばらつきを見ている
code:_
群A   ▁▂▅█▅▂▁ 平均72
群B ▁▂▅█▅▂▁ 平均70
↑この重なり具合がカギ
山が大きく離れている(重なりが少ない)→ 本物の差っぽい
山がほぼ重なっている → 2点差くらい誤差の範囲
これを数式にすると「差 ÷ ばらつき」という形になる
同じ2点差でも、各群のばらつきが小さければ「有意」、大きければ「誤差」と判定が変わる
$ t = \frac{\text{2群の平均の差}}{\text{その差の標準誤差(ばらつき)}}
帰無仮説の設定
例えば、 新教材クラス vs 従来クラスでテスト平均点を比較を例に採ると
H₀: μ_新 = μ_従来
教材を変えても母集団の平均は同じ
つまり、2つのサンプルは同じ母集団に属しており、観測された5点差はサンプリングの偶然にすぎない
H₁: μ_新 ≠ μ_従来
5点差は偶然では説明しきれない本物の差
つまり、2つのサンプルは別々の母集団に属している
p値 < 0.05 なら「偶然では片付かない → 差がある」と結論する
2種類のt検定
結論、基本Welchのt検定を使えば良い
「2群の分散が等しい」と仮定するかどうかで2種類ある
Studentのt検定
等分散を仮定する
σ₁² = σ₂² とみなし、両群のデータを合体させて分散を1つにプールして推定する
「ばらつきは1種類」と決め打つぶん、精度を稼げる
Welchのt検定
等分散を仮定しない
各群の分散を別々のまま使う
ばらつきが群ごとに違ってもOK
自由度は近似式で求まり、たいてい非整数になる
得意不得意
table:_
Student(等分散) Welch(不等分散)
分散が本当に等しいとき わずかに検出力が高い ほぼ同じ性能
分散が違うとき 偽陽性が暴走(危険) 頑健に正しく動く
サンプル数が不均衡なとき 特に脆い 強い
Studentが勝てるのは「分散が本当に等しいとき」だけで、しかも差はごくわずか
一方、分散が違うのにStudentを使うと検定が壊れる(5%のつもりが実際は10%超、など)
ので、最初からWelchのt検定を使ったほうが良い
/mrsekut-book-4802612907/148
/mrsekut-book-9784274234545/040
#wip
以下の仮定のもとで行われる
正規性がある
2つの群は独立している
2つの群に等分散性がある
雑な手順
仮説の設定
平均値に差がある・ない
t値を計算する
データが仮定を満たすなら、t値はt分布に従う
t値に基づいて、p値を計算する
p値が有意水準より小さいかどうかで、帰無仮説を棄却できるかわかる
Claude Code.icon
「差がある」と「〜のおかげ」は別物
ここが一番の落とし穴。t検定が言えるのは差の存在だけで、因果は保証しない。
教育の例で、新教材クラスの平均が有意に高かったとしても、t検定だけでは「新教材のおかげ」とは言えない。なぜなら、こんな別要因(交絡)があり得るから:
新教材クラスにたまたま優秀な生徒が偏っていた
そのクラスの先生がたまたま熱心だった
そのクラスだけ直前に補習があった
これらを潰すのがランダム化だ。生徒をくじ引きで2群に割り付ければ、こうした偏りが平均的に相殺され、「2群の違いは教材だけ」と見なせる。そこで初めて因果が言える。
code:_
ランダム割付 + t検定で有意 → 「新教材のおかげ」と言える
既存の2クラスを比較 + 有意 → 「差はある」までしか言えない
役割分担で覚えると整理しやすい:
table:_
やりたいこと 担当
差が偶然か本物か t検定
その差が「〜のせい」と言えるか 実験デザイン(ランダム化)
棄却「できなかった」ときの読み方
p ≥ 0.05 で H₀ を棄却できなかったとき、「効果がないと証明された」と読むのは誤り。正しくは「効果があるとは言えなかった」。理由は次の2つを区別できないから。
本当に効果がない
効果はあるが、サンプルが少なくて検出できなかった(検出力不足)
「差を示せなかった ≠ 差がないことを示した」 ── 多くの人が誤解するところ。