高炉
鉄鋼メーカーが高炉を休止する理由としては、呉製鉄所の生産性の低さが指摘されています。報道や鉄鋼メーカーの発表などを踏まえると、もともとあった原材料価格の高止まりや、中国などの供給過多による価格の下げ圧力に加えて、昨今の市場の急激な冷え込みによって需要が低迷し、日本の鉄鋼メーカーの経営環境が一気に悪化しています
高炉はその付帯する製鋼設備まで含めると、5000億円から1兆円近い費用がかかる、恐らく産業の中で最も高額な生産設備の1つです。国内で稼働している主要な高炉は、内容積が5000m2以上あり、そこから1日当たり1万t(トン)の銑鉄が生産されます。費用も規模も桁外れだということが分かると思います。
メリット
巨大な設備を使う代わりに大量かつ安価に鉄を生産できることです。そのため、市場規模が大きくスケールメリットを生かせる製品、例えば薄板などに適しています。
c.f.
電気炉を使うメリットは、設備の規模が小さいので、多品種少量の製品、例えば棒鋼や形鋼などに適しています。
付帯する製鋼設備を活用することで、高度に結晶構造や成分を調整できる
高張力鋼板(ハイテン)や電磁鋼板などの、いわゆる自動車や家電などに多用される高級鋼の生産は高炉によるものが主流
電気炉では原料に鉄スクラップを使っているため、どうしても不純物成分が混じってしまいます。
近年、精錬(不純物を取り除く技術)が進歩し、電気炉を使って高炉と遜色のない製品を造れるようになりつつありますが、まだまだ高級鋼の世界では高炉の独壇場が続いています。