遺伝子決定論
遺伝子が身体的、行動的形質を決定するという信念である。ほとんどの表現型が遺伝の影響を強く受けることは確立された事実であるが、同時に非遺伝性の要因が表現型に影響を与えるケースも知られている。 自由意思の支持者はしばしば遺伝子決定論が犯罪者の処罰を妨げることになると考える。また遺伝子決定論者は社会ダーウィニズム、人種差別、死刑制度、優生学を支持していると批判されることがある 遺伝子決定論に限界があることは、臨床でも(一卵性双生児での遺伝学的病変の転帰が同一ではないことから)、また実験においても(同質の環境下であっても、変異によって同系動物間にさまざまな影響が生じることから)、ずっと以前から明らかだった。 そうだとしても、個体の表現型は予測可能かもしれないと考えたB Lehnerたちは、発生中の動物で変異の帰結を直接予測する方法を考案した。非侵襲的な、蛍光を用いる方法によって、線虫(Caenorhabditis elegans)の胚発生過程での遺伝子発現のゆらぎを監視し、各胚の分子ノイズとその胚に対応する成体の表現型を後ろ向きに比較したのである。そして、密接に関係する遺伝子間に生じる調節補償作用と、シャペロンなどの一般的な調節因子がかかわる調節補償作用が明らかになった。こうした補償の強さによって、動物ごとの成体表現型が予測される。 あらゆる能力は遺伝的である。すなわち能力の個人差は遺伝の影響を少なからず(30~60%)受けている。...行動遺伝学のエビデンスが昔から頑健に示している科学的知見である。 https://gyazo.com/8d8bdace595c7154115d615aff84f882
伝わるのは「遺伝子」であり表現型ではない。遺伝とは確かに形質の相対的な類似性を生む仕組みでもあるが、それとは反対に、親とは異なる、それどころかゲノム全体でみればこの世の誰とも異なる全く新たな個性的組み合わせを生む仕組みでもある。 伝子そのものを扱った研究に、虐待経験が反社会的行動(暴力とか犯罪など)に及ぼす影響にMAOA(モノアミン酸化酵素の型の違いをつかさどる遺伝子)がどう関わるかを明らかにした研究がある。 子どものころの虐待体験は青年期の反社会性を高める傾向があるが、その関係はMAOAの活性度の低いタイプのほうが高いタイプよりも強くあらわれ、しかもその影響は虐待体験が深刻だった場合、特に強く現れるというものである。
なんで研究系の事例紹介に参照がないんだ...メディアの編集方針なのかな?基素.icon
We studied a large sample of male children from birth to adulthood to determine why some children who are maltreated grow up to develop antisocial behavior, whereas others do not. A functional polymorphism in the gene encoding the neurotransmitter-metabolizing enzyme monoamine oxidase A (MAOA) was found to moderate the effect of maltreatment. Maltreated children with a genotype conferring high levels of MAOA expression were less likely to develop antisocial problems. These findings may partly explain why not all victims of maltreatment grow up to victimize others, and they provide epidemiological evidence that genotypes can moderate children's sensitivity to environmental insults.
私の博士論文も遺伝と環境の交互作用を実証する教育実験だった。小学生の一卵性のきょうだいを別々のクラスに分け、英語を会話中心式と文法訳読式で、それぞれ別々に教えた。
すると遺伝的に社交的なペアでは会話中心式のほうが英語によるコミュニケーションの意欲が高いが、遺伝的に内向的なペアだと文法訳読式のほうがコミュニケーション意欲が高かった。
遺伝的に知能の高い一卵性のペアでは文法訳読式で教わった方が文法力がつくが、遺伝的に知能の低い方のペアでは両者の教授法の差はほとんどないという交互作用も見られた。
https://youtu.be/lHql24lgv6Y
教育は遺伝をテーマにすると誰も聞きに来てくれない
個人差に遺伝要因は関与しているのか、影響している場合どれぐらい影響しているのか?
家庭環境が同じと仮定できる二卵性双生児を使って調べるのがベーシック 250自治体で書き写した
4万4000人
1980oに双子研究を中心とした行動遺伝学がブームになった。論文はことごとく遺伝の要素が無視できなかった
しかし社会科学全般で遺伝をいうと差別助長すると考えられ、タブー視している
遺伝的に望ましくない素質をどうするか、という問題、むかしは排除した(優生学) 「背が低かったり高かったりするのと同じで個人差があるのも自然の摂理である」
教育が大事だという事実を教育学は理論的に証明できていない
「理論的に証明」が何を指すのかが不明基素.icon
20年間一人で研究していたが、さいきん向きがきた
分子レベル
双子研究の結果は曖昧
IQ、社会性、外向性のn%が遺伝、といわれてもよくわからない
学校についていけないこどもが遺伝的にいるのは当たり前である知った上で教育をするべき
遺伝に合わせて環境をかえよ
https://www.youtube.com/watch?v=eZd9zTrCCQc
この遺伝子があるから大谷翔平になる、というようなことを今では言えない
長い時間の訓練も当然必要
訓練・努力・適切な指導が才能を作るというストーリーを科学的に語る人はたくさんいるが、その根本に遺伝子がある
足りないところは社会がサポート・教育する必要がある
双子研究ではこのようなものに遺伝の影響は50%ぐらいある
心理学者が考えついたいろんな能力
精神学者が診断する疾患
遺伝的に恵まれていなければ、どんなに頑張ってもいい大学に行くことはできない(確率が高い)
親ガチャも個人の素質も運
人間は学校で教えなければいけない(社会システムを維持できない)
中学校の教科が全部血肉になってる人は殆どいないが、全員卒業している
学校の成績が悪くても社会でよくできる人はたくさんいる
学習している
教育の本来は生きるための知識だが、学歴がラベリングに使われているのは不健全である 自分の持っている才能を活かすために不得意な才能の知識は持っていたほうがよい(どこかでつながるため)
自分の得意なところを伸ばして社会に関与する
有能感を感じる
他の人の役に立つ
という仕組みを顕在化させたい
学校の先生は今でもそれをやっているし、自分たちでやっている人たちは普通にいる
この理論的裏付けをしたい