選択のオーバーロード
選択肢数と選択の繰り返しが選択結果の主観的満足度に与える影響 八木善彦(立正大学心理学部)
選択肢数と選択結果満足度の因果関係に関する最初の実験的検討は、Iyenger & Lepper(2000, Exp.1)によって行われている。
彼女らの実験は、実在するスーパーマーケットに設けられたジャムの試食コーナーにおいて行われた。試食コーナーは、日によって 6 種類または24種類のジャムのサンプルが陳列され、消費者 はそれらを自由に試食することができた。
実験者によって、
試食コーナーに立ち止まる消費者の数と、
実際に ジャムを購入した消費者の数
が記録された。
実験の結果、
試食コーナーに立ち止まった消費者の数は、
24種類の場合(242人中145人、60%)で、
6 種類の場合(260人中104人、40%)を上回っていた。
このことは、消費者が選択肢数のより多い環境を好むという、従来の一般的信念と一致している。
その一方で、実際にジャ ムを購入した消費者の数は、逆に
6 種類の場合(104人中31人、30%)で、
24種類の場合(145人中 4 人、3 %)を上回ることが明らかにされた。
この結果は、選択肢数の増加が選択結果の満足度を低下させ、結果として選択行動そのものを放棄させた可能性を示している。