議論のレベル
練習すると高くなる
DH0. 罵倒(Name-calling):発言者に対する罵倒。 例 「この低能が!!!」「筆者はうぬぼれた好事家である。」
DH1. 人格攻撃(Ad Hominem): 論旨でなく、発言者の属性に対する攻撃。非常に弱い反論。 良いアイディアはしばしば外部からもたらされるのであるから、特に無益な変種と言える。
問題はその筆者が正しいか否かなのだ。 それで、もし資格がないせいで間違っているのであれば、その間違いを指摘せよ。 間違っていないのであれば、資格は関係ない。
DH2. 論調批判(Responding to Tone): 発言のトーン(調子)に対する攻撃。 例「この人がこれほど尊大な調子で ID (知的設計) 説を退けるなんて信じられません。」
論調を判定するのは難しい
ある話題に不満を抱いている読者は、他の人が中立的だと思うような書き方でも気分を害することがある
ある事柄に関して最も悪く言える点がその論調だというのなら、 たいしたことは言えてないということだ。書き方が軽薄だけど正確? 重々しくて間違っているよりいいじゃないか。
リアルワールドの議論ではDH2は第三者によく効く。「Aさんは言い方が良くないから良くない」という判断をする人が結構いる基素.icon
DH3. 単純否定(Contradiction): 論拠なしに、ただ否定。 ↑ここまではなにも論証していないので、(評判が大事でなければ)言われても無視して良い
DH4. 抗論(Counterargument): 論拠はあるが、もとの発言に対して論点がズレている。 単純否定に論理・論拠を加えたもの
抗論は何事かを証明するかもしれない。問題は、何を証明するかがわかりにくいということだ
感情的に言い争っている二人の話題が実はぜんぜん違っていた なんていうのはよくあることだ。 ケンカに熱中するあまり、お互い賛成しているのに気づかないことさえある。
DH5. 論破(Refutation): 具体的な誤りを論破できているが、もとの発言の主眼点は論破できていない。 誰かを論破するには、その言葉を引用する必要があるだろう。 反論対象の「クサいところ」、誤りだと感じる一文を見つけて、 そこが誤りだという理由を説明する必要があるのだ。 反論するための具体的な文を見つけられないなら、幻影と戦っているのかもしれない。
正当な論破に見せかけるため文章を引用しておきながら、DH3 や、 最悪 DH0 のような低級の反応しかしない書き手もいる。
DH6. 主眼論破(Refuting the Central Point): もとの発言の主眼点を論破できている。 DH5 ほどの高みにあってもなお、わざと不誠実なことをする人がいる。 主張の些細な点を取り出して論破するような場合だ。 その裏にある精神からすると、論破というよりも「洗練された人身攻撃」と呼んだほうがいいこともある。
文法、数字の細かな誤りなどの主張に大きな影響をしない点
真の意味で論破するには、主眼点 (の少なくとも一部) を論破することが求められる。 それはつまり、どこが主眼であるかを明確に示す必要があるということだ。 よって、真に効果的な論破はこのようなかたちになる。
code:主眼論破
この人の要点は x ということのようだ。彼はこう述べている。
<引用>
しかしこれは以下の理由で間違いだ。
<説明>
ただし、誤りとして引用する部分は、必ずしも要点そのものでなくてもいい。 要点が依拠している部分を論破すれば十分だ。
この視点以外に、そもそも論点を分けられていないパターンがある
複数の論点を混ぜた上でDH2をやったりする