私人間効力
憲法は本来、その国家を設置した国民自身が自らの国家権力を監督するためのものである。よって憲法が適用される典型的場面は「私人対国家」である。
しかし、「私人」相互において社会的格差が生じている現代においては、人権侵害が生じる場面は対国家には限られず、私人相互の関係(たとえば、巨大企業対労働者の関係など)においてもその適用が問題となる。これが「私人間効力」の問題である。
裁判例では、私的自治ないし契約自由の原則などへの配慮から、憲法の規定を直接に適用するのではなく、公序良俗違反(民法第90条)などの解釈・適用において憲法の趣旨を考慮する形をとる。
私的自治の原則と人権保障の調和の観点から、直接効力説や無効力説よりも優れているとされ、通説としての地位を占めてきた。 もっとも間接効力説は媒介となる私法の一般条項にどの程度、憲法の趣旨を斟酌するのかでその内容は大きく異なる。
憲法の目的たる人権保障の要請を重視して斟酌の度合いを強めればその実質は直接効力説と大差なく
逆に私的自治の要請を重視すれば無効力説に等しい帰結を生むことになる。
このため、直接効力か間接効力かという議論はあまり意味はなく、私人間への適用を前提にした上で矛盾衝突する人権の調和を図るための比較衡量の基準をこそ探求すべきだとする指摘もなされている。
@r_messy: 憲法の私人間効力における間接適用説って、そんなに理解しづらいもんかな? いや、もちろん「理解」のレベルによるんでしょうけど、学部レベルで求められる理解なら、そんなに難しくないし、それさえできていれば「私人間であれば憲法の『表現の自由』の問題ではない!」なんていう言い方はしないはず