特集:平成15年度決算分より作成・公表「国の財務書類」で見る日本の財政の現状
特集:平成15年度決算分より作成・公表「国の財務書類」で見る日本の財政の現状
取材・文 向山勇
日本の財政活動は、必要な財源を国民から税金等として徴収し、適正に配分することを基本にしている。また、収入支出の判断を確実に行うため、国の会計は、現金の授受の事実を重視する「現金主義」を採用している。
一方、バブル崩壊後に国の財政が悪化するなか、財政構造改革を進める一環として、「財政状況をよりわかりやすく国民に説明すべき」との要請が高まった。
平成11年2月には、首相直属の諮問機関である経済戦略会議で「日本経済再生への戦略」が取りまとめられた。
その中で、政府及び地方公共団体の財政・資産状況をわかりやすく開示するため、「企業会計の原則を踏まえた財務諸表を導入すべき」との提言がなされた。
これを受けて、平成12年10月に「国の貸借対照表(試案)」(平成10年度決算分)を作成・公表した。
その後、平成14年度決算分から省庁別財務書類を作成・公表、平成15年度決算分から、本格的な「国の財務書類」の作成・公表を開始した。
4つの公開書類
「貸借対照表」と「区分別収支計算書」は、企業会計とほぼ同様の形態であるといえる。「区分別収支計算書」は「キャッシュフロー計算書」と似た性格を持つ。 国の財政活動は、利益獲得を目的としていないため、企業会計のような損益計算書の作成は行っていない。
一方で投入されたコストに対して、どれだけの効用・便益を得たか、行政の効率性等を判断する必要がある。そこで、業務実施に伴い発生した費用を明らかにする「業務費用計算書」を作成している。
また、貸借対照表の資産・負債差額を増減させるすべての要因を表す計算書として「資産・負債差額増減計算書」を作成しており、主な増減要因となる業務費用や財源のほか、資産評価差額などを計上している。
売れない資産がある
有形固定資産(184.4兆円)は道路や河川といった公共用財産等であるし、出資金(75.4兆円)は独立行政法人の出資金や政策的に国に保有義務のある株式等であり、これらを売却することは現実的ではない。
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被収容者は1.3万円、非被収容者は2000円