構造化面接
構造化された面接とは、簡単に言えば、同じ職務に応募している応募者に同じ面接手法を使って評価するということです。
Google では構造化面接を採用しています。すべての応募者に同じ質問をして、同じ尺度で回答を採点し、事前に決められた一貫した採用要件に基づいて採用を決定しています。 構造化面接を行うと、応募した職務自体が構造化されていない場合でも、応募者のパフォーマンスを予測できるという調査結果があります。
では、構造化面接の質問を使う組織があまり多くないのはなぜでしょうか。実は、質問を作成するのが難しいのです。
構造化面接の質問は、記述してテストする必要があります。
面接担当者が他の質問をしないように指導する必要もあります。
同じ質問が何度も出されると予想した応募者同士が、情報を交換してすべての回答を用意してこないように、質問を絶えず更新する必要があります。
別の調査によると、構造化面接があまり頻繁に用いられていないのは、一般に面接担当者は皆自分の面接が上手いと思っていて、助けなど要らないと感じているからだということがわかっています。
構造化面接に対する Google のアプローチには、次の 4 つの側面があります。
職務に関連性のある、吟味された質の高い質問をする(難問奇問をしない)
一般的な認知能力と、難問奇問を解くための能力との間に相関関係がない
一般的な認知能力とは
GPA や SAT のスコアではなく、応募者が現実の難題をどのように解決し、どう学ぶかを重視するということです。 かつて Google では面接の際、「ボーイング 747 の中にゴルフボールはいくつ収まりますか?」といった難問や、「もしあなたが 5 セント硬貨と同じ大きさに縮んで、ミキサーに入れられたとしたら、どうやって脱出しますか?」といった奇問を出題していました。
しかしそれと同時に Google では、面接時のスコアとそれ以降のパフォーマンス スコアを比較し、難問奇問による予測能力を詳しく検証しました。その結果、このような質問に対して見られた能力は、好意的に解釈しても、訓練を通じて向上できるようなスキルであることを発見し、それからは応募者の評価に利用することはなくなりました。
評価担当者が簡単に回答を審査できるように、応募者の回答に対する総合的なフィードバックを文書にする
優れた回答、凡庸な回答、劣った回答がどのようなものかについて、すべての評価担当者が共通の認識を持てるように、標準化されたプロセスで採点する
面接担当者が自信を持って一貫性のある評価を行えるように、面接担当者へのトレーニングを提供し、調整を図る
行動についての質問
応募者が過去の状況にどのように対処したかを検証するために使用します
あなたの行動がチームに良い影響を与えたときのことを話してください(フォローアップ: あなたの第一目標は何でしたか、その目標を立てたのはなぜですか?同僚はどのように反応しましたか?今後はどのような計画がありますか?)
仮説に基づく質問
応募者の行動のパターンを明らかにする
メールサービスを提供する業務を行なっている際、競合他社が、自社サービスに月額 5 ドルの課金を始めたとします。あなたは、その状況をどのように評価し、チームに何をするようにすすめますか?
(フォローアップ: 推奨案を伝える前にどのような要因を考慮しますか?推奨案のメリットとデメリットは何ですか?それが今後も持続可能なモデルかどうか、どのようにして評価しますか?組織全体にはどのような影響があるでしょうか?)。
質問
導入
フォローアップ(掘り下げ)
詳しく解説してもらうためには、詳しい質問が必要
効果
複数の部門、レベルに配属された採用者のパフォーマンス スコアを面接時のスコアと比較したところ、構造化面接は構造化されていない面接よりも職務のパフォーマンスの予見性が高い
事前に作成した質の高い質問やガイドライン、評価手続きを使用するので、1 回の面接で平均 40 分短縮できます
構造化面接を受けて不採用となった応募者は、構造化面接を受けずに不採用となった応募者よりも満足度が 35% も高かった