家計は黒字、企業は赤字
これまでの通説では家計は黒字、企業は赤字の主体だ。家計は将来に備えてお金をため、金融機関などを通じて企業に回す。企業は借りたお金を工場建設などの投資にあて、新しい雇用を生むとともに、稼いだ利益の一部を家計に利子などの形で還元する。これが経済成長のメカニズムだ。政府は財政の持続性や通貨の信認などの観点から、中長期的には収支均衡が望ましいとされてきた。 2000年代以降、日米欧の企業の投資は伸び悩み、企業は黒字主体として定着した。余ったお金が政府に流れ込み、政府には調達コストを示す金利の低さを享受しながら、財政赤字を続けられる状況が生まれた。企業が積極的にお金を借りて経済をけん引しない分、政府がお金を使って経済を下支えする構図ともいえる。