坂村健
──2018年8月、TRONが世界におけるOSとして標準化されたという報道がありました。
正確に言うと、私がつくったOSを米国電気電子学会(IEEE)が「IEEE 2050-2018」と名付けて、IEEEのIoT向けの組み込みOSの標準として認定したということ。原型は「μ T-Kernel2.0」というIoT用の組み込み型OS。IEEEはコンピュータ分野では代表的な標準化機関ですから、TRONが世界標準のOSとして認められたと言っていいと思います。
ほかにIEEEで標準化されているOSはもう一つだけあって、情報処理用OSの分野で「POSIX」です。これは一般的にはLinux、もともとの流れで言うとUNIXです。このPOSIXをベースとしたコアOSの上にWindowsもMacOSもiOSもAndroidも作られている。
把握できていないものもありますが、組み込み型OSとしてはシェアで60%ぐらいです。
世界で使われているマイクロプロセッサの総数から見ると、パソコンやスマートフォンは総計でも5%程度と言われています。他の95%は機械の中に組み込まれたコンピュータです。その95%の中でTRONは半分以上のシェアを持っているので、台数ベースでは最も使われているOSになると思います。