国際政治学
元来、伝統的な政治学はイデアや徳などの理想的な理念で政治秩序を論じていた。近代において功利主義の道徳哲学や利益調和の政治経済学の思想的な展開に伴って、現実政治にも理想主義の政治学原理が適用されるようになった。この理想主義は、世界政府や自由民主主義などの政治理念を生み出すとともに、1919年のパリ講和会議の国際連盟設置などを契機に現実の政治に具体化されていった。 しかし第一次大戦後の理想主義的な国際政治学は次第に衰退していくことになる。理想主義者は国際政治から権力を除外すべきであると考えていたが、1939年の第二次世界大戦が発生した時には権力を排除した理想主義の政治理論は現実に適応できなくなっていた
カーは国際政治の新しい秩序を構想するために、権力と道義の二つの原理から考えを展開する。