商標制度に対する攻撃
商標制度には、「分割出願」という出願の制度があります。これは、ある出願の一部の権利を、新しい出願に移すような制度です。 分割出願の制度を使うと、新しい出願の出願日が、元の出願の出願日にさかのぼります。
2018年に商標法の改正が行われ、手数料未納の商標出願から分割した場合は、分割後の出願についてもとの出願日を維持しないこととなったが、この改正はベストライセンス対策で行われたと見られている
これを裏技的に使うと、ある出願を分割して、新しい出願をし、さらにその新しい出願を分割し……と繰り返せばいつまでも最初の出願の出願日を確保することができるのです。(この方法をこの記事では無限分割と呼ぶことにします)
これを利用すれば、理論上は全ての商標の早い者勝ちの権利を0円で半永久的に保持することができます。
報道によると、2015年だけで、このA氏名義の出願とベストライセンス社名義の出願とで、計約1万4700件以上の出願がされているようです。2015年の日本全国での商標出願の件数が約14万7283件ですから、全体の約1割を、個人或いは個人が運営する一企業が出願していることになります。
「リニア中央新幹線」、「民進党」、「おおさか維新の会」などの他、「じぇじぇ」、「やられたらやり返す」、「STAP細胞はあります」などの流行語も出願されているようです。 大手化粧品メーカー 資生堂の2015年の出願数は約650件ですから、1万4700件という数字が如何に大きなものであるかが分かります。
他社がすでに使っている商品名などについて、極めて多くの商標の登録出願を開始。そのほとんどは手数料を支払っていないために却下されているが、出願情報は出願公開公報やJ-PlatPatにて公表され、却下されるまでの間に既に商品名などを使用していた他社が使用や商標登録を断念する懸念がある