厚生年金の積立金を老齢基礎年金に流用
年金底上げ、国庫負担年2兆円 財務省が反対しない理由 - 日本経済新聞
2025年7月11日 参議院選挙 政党 政策アンケート 「年金・社会保障」専門家解説動画も | NHK | 参議院選挙
https://gyazo.com/1dd15fafc48e2270d3ec630806131f70
将来の基礎年金の給付水準の底上げについて|厚生労働省
基礎年金の底上げの措置に必要な追加の国庫負担は、令和6年財政検証の実質ゼロ成長を過程したケースによると、2038年度から発生
from 2025-07-11
https://youtu.be/DntaywFdQWE?si=OPADT84Htk2ZrgLQ
結構複雑な話だな。再生した人のうち何割が正確に理解できているんだろうか?
最後までみたらそんなに複雑ではなかった。最後の図が一番わかりやすい
https://gyazo.com/496fee2d4ea784f02d8b8fc4dc51b77b
立憲民主党が氷河期世代の救済として底上げを主張した
年金底上げ改正のポイント - 立憲民主党
マクロ経済スライドで3割減るところを8%の減少に止めたとするが、ではそのぶんどこが減ったのか明確に書いてない。こういう資料は与党も野党も不誠実に(自分の主張に都合の良いメッセージを受け取ってもらうために)書く
基礎年金の財源の半分は国庫負担でまかなうというルールがあります。基礎年金がこのままだと3割カットになるので、投入される国庫負担額も自然に減っていきます。ところが、修正案でこの3割カットを防止することになるので、国庫負担額も維持されます。何もしなければ減るはずの国庫負担が、修正案を実行すると減らずに維持される、その差額が約2兆円ということなのです。全くの新規財源というわけではありません。
マクロ経済スライドで「適正化」されるはずのところが増えてるんだから国庫負担の増額そのものであって、「全くの新規財源というわけではない」という文章は「今まであったのが残るだけ」という意味程度に受け取るにせよ、増額に変わりなし。こういうレトリックが散りばめられている基素.icon
さらに言えば、修正案によって差額の国庫負担約2兆円が発生する時期というのは、これから30年近く後 (2052年)の見込みです。それまでの間は5年ごとに財政検証 (年金の健康診断)がありますので、その都度、財源規模がどの程度になるのか、経済の状況も含め確認することになります。
これもレトリック。最大の2兆円が発生する時期は確かに上の図の通り2057年だが、それ以前からも普通に流用されている基素.icon
年金と生活保護の関係についてです。首相や厚生労働大臣からも答弁がありましたが、年金の目減りを止めないと生活に困窮する方が増え、生活保護がさらに増加していきます。基礎年金の国庫負担を減らせば、生活保護費が増えてしまいます。財源については年金と生活保護をセットで考えることが重要です。
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トータルどっちが安いの?安いからそうするべきなの?
それはこの仕組みでやるべきことなの?仕組みが複雑化する
システムの理念が政治利用で歪む
システムが使いづらくなる
さまざまな政策が複数の意味を持ち、予期せぬ副作用を抱えることになる。どの政策が何に対応するのかが政治家自身わかりづらくなり、意思決定のコストが上がり、誤りの確率も増える
効果の計算も複雑になり、効果検証もやりづらくなる
保健は互助なんだからまあこういうこともある
むしろ山田さんの説明で言うところの立憲の八方美人的なパッチはよくわからない
弱者を切り捨てると社会不安となって怯えて外に出ないといけない街になるわけだから、弱者救済は自分のためでもあると私は考えているが、排斥するコメントが目立つ
コメントというのはそもそも偏りがとてもあるわけだから、実際の分布は不明
不満がある人しか書きこまない
経済を成長させるしかないし、そのためには移民でもなんでもやればいい
経済がシュリンクしていくのもいやだし移民もテクノロジーも嫌だと言っていても、経済はシュリンクの加速が激しくなるだけで、そうするとこう言うことを言う人の生活もますます苦しくなるのである
付加価値創造をしなければならない
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2025年6月に可決された厚生年金の積立金を老齢基礎年金に流用する改革法案について、以下の観点から調査を行います。
法案の概要と背景
理論的・制度的な課題
政策的な論点(持続可能性、世代間公平性など)
なぜこのような制度変更が行われたのか(政治的・経済的背景)
各主要政党(自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、共産党、国民民主党など)の立場と賛否の理由
2025年年金改革法案(厚生年金積立金の基礎年金流用)の内容・背景と課題
改革法案の内容と成立の背景
2025年通常国会で成立した年金制度改革法(正式名称:「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等改正法」)は、少子高齢化など社会経済の変化に対応し年金制度の機能強化を図るものです。政府は令和7年(2025年)5月16日に法案を提出し、衆議院で修正可決の上で6月13日に成立しました 。法案には以下のような項目が盛り込まれています :
被用者年金の適用拡大: 短時間労働者への厚生年金適用条件から年収要件(いわゆる「106万円の壁」)を段階的に撤廃  。これにより中小企業のパート労働者等も厚生年金・健康保険に加入しやすくし、将来受け取る年金額の増加につなげる狙いがあります 。
在職老齢年金の見直し: 働きながら年金を受給する高齢者について、年金が減額され始める月収基準を現行の50万円から62万円(2024年度価格)に引き上げ 、高齢者がより長く働ける環境を整備します 。
遺族年金制度の改善: 遺族厚生年金の男女差を解消し、子のない世帯で配偶者が年金を受け取れない不公平を是正します。また遺族基礎年金についても、受給要件の緩和など子どもが受け取りやすい制度に改めます 。
標準報酬月額上限の引き上げ: 厚生年金保険料の計算に用いる報酬月額の上限を引き上げ、高所得者にも相応の保険料負担を求めることで、現役時代の収入に見合った年金受給を可能にします 。
私的年金制度の拡充: 確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢を引き上げ、企業年金の拠出限度額引き上げや運用情報の開示強化など、老後資産形成を支援する措置を講じます 。
中でも注目されたのが将来の老齢基礎年金の給付水準の底上げ措置です。これは、年金額改定ルールであるマクロ経済スライドにより将来基礎年金(1階部分)の水準低下が見込まれる場合に、厚生年金(2階部分)と基礎年金のスライド調整を同時に停止することで基礎年金額を底上げする方策です 。具体的には、経済前提が低成長で推移した場合に基礎年金のみが過度に目減りしないよう、一定時点で厚生年金勘定から基礎年金勘定へ追加拠出(厚生年金積立金の活用)と国庫負担の追加投入を行い、基礎年金の減額調整(マクロスライド)を厚生年金と同時に終了させる仕組みです  。この「基礎年金底上げ案」は当初政府原案の目玉とされましたが、厚生年金加入者から「自分たちの積立金が流用される」との反発や、将来的に数兆円規模の国庫負担が必要になる懸念 から、一度は政府案から除外されていました。与党内、とりわけ参議院自民党が「年金積立金の流用」が夏の参院選の争点化につながることを警戒し、法案提出が予定より約2ヶ月遅れる混乱もありました 。
しかし立憲民主党など野党は、基礎年金底上げ策を削除した政府案を「あんこのないあんパン(中身のない年金改革)」だと批判し  、「この機会を逃せば将来世代の年金底上げは永遠に実現しないおそれがある」と主張しました 。その結果、衆議院厚生労働委員会で与党(自民・公明)と立憲民主党が協議の上、基礎年金底上げ措置を法案附則に追加する修正案が共同提出され可決 。同日中に衆議院本会議でも与党と立憲などの賛成多数で修正案付き法案が可決され、参議院に送付されています 。最終的な本会議採決では、自民・公明与党に加え立憲民主党・社民党なども賛成し、維新・国民民主・共産・れいわ新選組などが反対する形で法案成立に至りました  。
厚生年金積立金流用策の内容と理論的課題
基礎年金の将来水準の底上げ策は、厚生年金の積立金および追加の国庫負担を財源として基礎年金の給付水準低下を食い止めるものです。理論的な観点から、いくつかの課題や論点が指摘されています。
「積立金の流用」と保険原理の公平性: 厚生年金の被保険者が積み立ててきた資金を、厚生年金に加入経験のない人も含めた基礎年金の底上げに充当する点について、「サラリーマンの積立金が勝手に使われるのは不公平だ」との批判があります 。社会保険の原理から見ると、本来それぞれの年金勘定は自前の財源で給付をまかなう建前であり、他勘定への資金転用は世代間・制度間の負担の付け替えとも評価されます。一方で厚生労働省は、「厚生年金の保険料には従来から基礎年金拠出分が含まれており、賦課方式の公的年金では積立金に個人の持ち分はない」ため、今回の措置は従来からある基礎年金拠出の延長であり「流用には当たらない」と説明しています 。実際、現行制度でも厚生年金保険料の一部は基礎年金勘定に拠出されており、制度全体で支え合う仕組みになっていることから、政府は「厚生年金加入者も将来受け取る基礎年金部分が底上げされるので不公平ではない」と正当化しています 。
マクロ経済スライドとの関係(制度設計上の問題): 今回の底上げ策は、年金財政の自動調整機能であるマクロ経済スライドを 予定より早期に停止 するという特殊な措置です。本来マクロ経済スライドは少子高齢化に対応し給付水準を徐々に実質調整する制度ですが、底上げ策実施時には基礎年金・厚生年金ともスライド調整を同時に止めることで、それ以降の給付水準低下を止めます 。この設計上、どの時点でスライドを止めるかが将来世代と当時の受給世代の利害に関わります。当面想定されるのは、経済前提が低迷したケースで2020年代後半にも発動される可能性があるということです 。ただしマクロ調整を早期終了すると、その分年金財政に追加負荷が生じるため、停止後の財源手当が不可欠です。この点、本法では「次期財政検証の結果等を踏まえ安定財源を検討する」とされるのみで、具体的な恒久財源は明示されていません 。
財政学的な持続可能性: 厚生年金積立金の活用により当面の財源は賄えるとしても、長期的には国庫負担(税金)による穴埋めが見込まれます。厚労省の試算によれば、基礎年金底上げのための追加国庫負担は少子高齢化が進行する2038年度頃から発生し、以降徐々に増大する見通しです 。経済が好転し高成長となれば底上げ策自体を発動しない可能性もありますが、仮に経済低迷で実施する場合には将来世代の税負担増や他の財政支出削減が必要になるという潜在的な財政リスクを孕んでいます  。一方で政府は「すぐに財源が必要となるものではない」と強調しつつ、必要時には安定財源を検討するとしています 。しかしこの「将来検討」にとどまる姿勢自体、制度設計上の不確実性として批判されました。
制度間格差是正かモラルハザードか: 本措置は結果的に、厚生年金未加入者(自営業・非正規労働者など)の基礎年金給付を厚生年金加入者の積立金で支える形になります。これを低年金者救済による格差是正と評価する向きもあれば、逆に「加入努力をしなかった層への救済は勤労意欲や保険料拠出インセンティブを損なう」というモラルハザードの懸念もあります。
ただ、日本の年金制度では第1号被保険者(自営業等)の保険料未納者増加や低年金問題が深刻化しており、そのまま放置すれば将来生活保護費の増大に跳ね返る可能性があります。実際、65歳以上の生活保護受給者の7割超が年金受給者であり、年金だけでは最低生活を維持できず生活保護に頼っている実態があります 。
このため「将来の生活保護増加を防ぐためにも一定の年金底上げは公共政策上合理的」という財政学的議論もあり、短期的な制度間の不公平より長期的な社会全体コスト抑制を優先すべきとの声もあります 。
制度変更に伴う政策的課題(持続可能性・格差・公平性)
今回の制度変更には、年金制度の持続可能性や世代内外の公平性の観点から様々な政策課題が指摘されています。
年金財政の持続可能性: 上述のように、基礎年金底上げを実施すれば長期的に追加財源が必要になります。政府は「経済前提次第では実施しない可能性もある予備的な措置」と位置付けていますが、仮に経済低迷で発動されれば巨額の公費投入が避けられません  。他方で、この措置により将来の老齢低所得者が減れば生活保護等の歳出増を抑制できる効果も期待されます 。いわば**将来の財政負担の性質を「年金給付として負担するか、生活保護費として負担するか」の違いであり、どちらが持続可能性に資するかの判断が問われています。
高齢期の所得保障と老後貧困対策: マクロ経済スライドの継続によって公的年金の所得代替率は100年かけて大幅低下する見通しであり、特に基礎年金しかない人の老後貧困化が懸念されています 。厚労省の財政検証では、経済停滞ケースで所得代替率を50%程度まで落とせば財政は維持できると示されました  が、それでは最低生活に満たない高齢者が増加する恐れがあります。底上げ策はそうした低年金者に一定の上乗せを行うもので、貧困率の上昇抑制や社会的包摂の観点から政策的意義があります。立憲民主党は「低年金の方々だけでなく、多くの現役世代と若者が老後の貧困から救われる」と強調し、将来的な高齢者の格差是正策と位置付けています 。一方、今回の底上げはあくまで基礎年金部分一律の増額であり、低所得高齢者を選別して支援するものではありません。一律底上げによる恩恵は、高年収だった厚生年金受給者にも及ぶ反面、より貧困な高齢者への重点支援ではないため、限られた財源の配分として効率的かという議論も残ります。
現役世代と高齢世代の公平性(世代間格差): 年金制度改革では常に、現在の高齢者と将来の若者のバランスが問題になります。今回の措置は「将来の現役世代(若者)の年金30%カットを防ぐために、一部の高齢世代の年金伸びを抑える」性格があります 。具体的には、基礎年金底上げを行うとマクロ経済スライドの調整期間が現在の高齢者分も延びるため、一時的に現在の年金額改定が僅かに抑制され得ます (※ただし底上げ実施によって将来もらえる総額が減る世代が出ないよう、必要な緩和措置を講ずるとされています )。立憲民主党は「一部の高齢世代に我慢をお願いしてでも現役世代の受給額減少を防ぐ世代間格差是正策だ」と修正案の意義を説明しました 。これに対し日本共産党は「多くの年金生活者の困窮に背を向けて年金削減(マクロスライド)を今後十数年継続させるものだ」と批判し、現在高齢者の給付水準引き下げを容認することになる点を問題視しました  。つまり、将来世代の給付維持と現在世代の給付抑制とのトレードオフをどう捉えるかという課題です。なお政府与党は、「緩和措置により底上げしなかった場合より不利益が生じないよう配慮する」として、高齢世代の理解を得たい考えです 。
女性や非正規労働者の年金格差: 基礎年金のみの受給者には、専業主婦期間が長かった女性や非正規で厚生年金に入れなかった人が多く含まれます。女性の低年金問題について共産党は「低賃金労働を強いられてきた構造の結果であり放置できない」と指摘し、最低保障年金など抜本策を求めています 。今回の底上げ策は直接「女性だから」「非正規だから」という区別はしませんが、結果的に厚生年金未加入期間の長い女性や非正規労働者層に手厚く恩恵が及ぶ可能性があります。したがって性別・雇用形態による年金格差の緩和策とも評価できます。ただ一方で、共産党や社民党などは最低保障年金(一律の税財源による基礎年金底上げ)**の導入こそ抜本的解決策だと主張しており 、今回のように一部積立金を原資とする手法では根本解決にならないとの立場です。
被用者保険適用拡大との関係: 厚生年金の積立金拠出余力を高め、基礎年金財源を安定させるには、より多くの現役労働者を厚生年金に加入させること(適用拡大)が有効との指摘があります。実際、財政検証オプションでは週労働時間10時間以上まで適用対象を広げたケースが示され、これにより最大860万人の新規加入者から保険料収入を確保できる試算もありました 。しかし本法改正での適用拡大は企業規模要件を段階的に引き下げるものに留まり、適用対象を一気に広げる選択肢は採用されませんでした 。国民民主党は「適用拡大を最大化すれば基礎年金底上げと同等の効果が得られるのに、事業主負担への配慮を優先して中途半端な拡大にとどまった」と批判しています 。つまり保険料収入を増やす努力と給付底上げのバランスという政策課題が残り、より抜本的には第3号被保険者(サラリーマンの扶養配偶者)の在り方見直しや拠出期間延長(40年→45年)なども議論が必要と指摘されています  。
なぜこの法案が成立したのか
経済・財政状況の逼迫と将来不安: 2024年公表の財政検証では、日本経済が低成長に陥った場合、公的年金の所得代替率(現役平均収入に対する年金額割合)は将来的に大幅低下し得ることが示されました  。特に基礎年金部分のみの受給者では現在より3割近い水準低下が見込まれ、これが「将来世代の年金3割カット」問題としてクローズアップされました 。こうした将来不安に対し、何らかの手を打たねば若者の年金離れや制度不信が高まりかねず、社会保障の信頼維持のためにも底上げ策が模索されました。また近年はコロナ後の物価上昇で年金実質目減りが発生し、高齢者から「これ以上年金が下がれば生活できない」との声も強まっていました。国民感情として年金削減に歯止めを求める気運が高まっていたことが、政治的判断に影響しました。
与野党の戦略と政治判断: 本法案成立には、与党と主要野党の思惑が絡んだ政治的経緯があります。自民党内では当初、厚生年金積立金流用策への抵抗感が強く、特に参議院議員を中心に「選挙前に年金で揉めたくない」との空気がありました 。そのため政府は一度、底上げ策を法案から外して提出しようとしました。しかし立憲民主党はそれを逆手に取り、「政府は低年金対策から逃げた」と攻勢を強めます 。2025年夏の参院選を前に年金問題で劣勢に立たされることを恐れた与党は、野党第一党の要求を受け入れてでも法案成立を急ぐ道を選びました。立憲民主党もまた、ここで成果を上げることが選挙戦略上有利と判断し、与党との修正協議に踏み切ったのです  。
与党にとっては立憲の協力を得て法案を通すことで、「年金改革に野党も含め前向きに取り組んだ」という形を作り、争点の封じ込めが図れます。一方立憲民主党は、自ら提案した修正を実現させることで**「年金3割カットを止める現実的な成果を勝ち取った」とアピールできました  。このように与党・最大野党の利害が一致**し、他の野党(維新・国民民主・共産など)を巻き込まない形で合意が成立したことが、法案可決の大きな要因です。
また、自民・公明の与党としても公約に「基礎年金の底上げ」を掲げており、立憲民主党と協調路線を取ることで年金充実に前向きな姿勢を有権者に示す狙いがありました  。公明党は元々福祉重視の立場から低年金者支援に熱心であり、積立金活用についても受け入れやすかったとみられます。結果として、本法案は与党+立憲民主+社民の賛成多数という異例の超党派色で成立し、各党がそれぞれ一定の狙いを達成した形になりました 。
主要政党の立場と賛成・反対理由
今回の年金改革法案に対し、各党は以下のような立場を表明しました。それぞれの賛否の理由も併せて整理します。
自民党・公明党(与党)【賛成】: 自民・公明は政府与党として法案成立を主導しました。少子高齢化に対応して「年金制度の持続性確保と高齢期生活の安定」を図る本改正の方向性を基本的に支持 。当初は厚生年金積立金の基礎年金転用に慎重論もありましたが、最終的には立憲提案の底上げ策を受け入れ賛成に回りました 。賛成理由として、所得再分配機能の強化により低年金者を支え、将来世代の安心を高める意義を強調しています 。公明党も福祉重視の立場から「弱い立場の人に手厚い年金制度へ前進」と評価し賛成しました。与党は同時に「マクロ経済スライドは堅持するが、必要なら柔軟に調整する」現実路線を訴えており、制度の安定と充実のバランスを取った改革だとしています 。
立憲民主党(野党第1党)【賛成】: 立憲民主党は本来野党ですが、自ら提案した修正が盛り込まれたことで法案に賛成しました 。賛成理由は明確で、「将来の現役世代の年金30%カットを防ぐためのラストチャンス」 との位置づけです。立憲は以前から低年金対策として最低保障機能の強化や所得代替率維持を主張しており、政府案から底上げ策が外れたことを強く批判していました 。最終的に与党との合意で底上げ策を実現できたため、「多くの現役世代・若者が将来の老後貧困から救われる。一刻も早く年金の目減りを食い止めたい」という立場で積極的に賛成票を投じています  。立憲はまた、「生活保護増大による将来財政悪化を防ぐ」効果にも言及し、社会的セーフティネットとして年金水準を底上げする政策的意義を強調しました 。
日本維新の会(野党)【反対】: 維新の会は本法案に反対し、投票でも修正案・原案とも反対しました 。要は年金制度の包括的な構造改革(私的運用や税財源化)こそ必要であり、今回のような部分的措置では抜本解決にならないとの理由で反対しました。
維新は既存制度の延命策ではなく抜本改革を行うべきとの立場です 。具体的には、現在の「賦課方式(世代間仕送り方式)」を将来的に積立方式や税方式へ移行し、全ての高齢者に最低限度を保障する最低保障年金の導入を掲げています。
今回の厚生年金積立金の流用による底上げ策についても、「一時しのぎの制度手直しに過ぎず、根本的解決にならない」と批判しました。
この問題意識自体は正しい基素.icon
維新はまた、将来の国庫負担増につながる改革には慎重で、「財源なき給付拡大は将来世代へのツケ回し」との考えから反対しています。
日本共産党(野党)【反対】: 共産党も法案に終始反対しました 。反対理由は、「この法案ではマクロ経済スライドという年金削減策が温存されたままであり、結局今後10年以上年金水準は下がり続ける」というものです  。
共産党は厚生年金積立金流用による底上げ策についても、「実施は5年後の検討に先送りされており、仮に早期終了してもなお年金は実質1割以上下がる」として不十分だと批判しました 。
共産党が主張するのはマクロ経済スライドの即時廃止と、全ての高齢者に月額○万円を保障するような最低保障年金制度の創設です  。今回の改革ではそれら抜本策が盛り込まれず、むしろ当面は年金削減が続くため「多くの年金生活者の困窮に背を向けるものだ」と反対しました 。
また共産党は、積立金流用についても「本来は税財源で最低保障を行うべきで、被用者が積んだ積立金に頼るのは筋違い」との立場を取っており、政府与党・立憲の合意を「まやかし」と批判しています(共産党機関紙) 。
国民民主党(野党)【反対】: 国民民主党も法案に反対票を投じました 。総じて国民民主党の反対理由は、プロセスの拙速さと制度改革の不十分さであり、「現実的提案を今後も続ける」と表明しています 。
国民民主は当初より、独自の修正案を衆議院に提出し議論していましたが受け入れられなかった経緯があります 。
「与野党超えて腰を据えた年金議論の場を設けるべきだ」と提案しましたが叶わず、将来課題を積み残したまま短期決着させたことに反対しています 。
与党・立憲の合意による修正案が優先され、自党修正案は十分審議されなかったことに強く反発しています 。田村まみ参議院議員は反対討論で「与党と野党第一党が合意したからといって、国民の理解が追いつかない中で異例の短期間審議で結論を出すことに抗議する」と述べました 。
同党は就職氷河期世代など厚生年金に加入できなかった人への年金加算、第3号被保険者制度の廃止検討、中低所得者の年金積立(iDeCo)拠出への支援、企業年金へのクローバック導入など、幅広い提案を盛り込んでいました 。
改革内容が中途半端との批判も展開しています。
例えば「厚生年金適用拡大は860万人が加入できる週10時間以上案を採用せず200万人程度の小幅拡大に留めた」「保険料拠出期間延長(40年→45年)も批判を恐れて議論せず見送った」など、政府与党の踏み込み不足を指摘しました  。
社会民主党(野党)【賛成】: 社民党は少数野党ですが、本法案には立憲民主党と足並みを揃え賛成しました 。社民も従来から「年金最低保障機能の強化」を主張し、共産党などとともに**最低保障年金(月額基礎年金の大幅底上げ)**の創設を公約に掲げています 。今回の改革は社民党の理想とする抜本策には及ばないものの、「基礎年金の底上げ」という方向性そのものには賛同できるとして賛成に回りました。特に物価高騰で苦しむ低年金の高齢者支援につながる施策である点を評価しています。社民党は「将来的には全額税負担による最低保障年金を目指すが、当面は本法による改善を前進」と捉えており、現実路線として与党・立憲の合意を支持しました。
以上のように、各党のスタンスは「現行制度の手直しで持続可能性と最低保障を図る」与党・立憲・社民と、「抜本改革こそ必要」として反対した維新・国民・共産(・れいわ)に分かれました 。年金制度の方向性を巡る各党の主張は、公的年金の役割や財源に対する哲学の違いを反映しています。本改革法案は、そうした中で与野党が妥協点を見出した一例と言えますが、同時に残された課題も多く、今後も継続的な議論が求められるでしょう 。
Sources:
厚生労働省 公式サイト: 年金制度改正法の概要・Q&A      
衆議院・参議院 会議録、厚生労働委員会 質疑(立憲民主党 長妻昭氏・大塚さゆり氏 発言など)   
朝日新聞デジタル報道  
東洋経済オンライン 寄稿(慶應義塾大学 土居丈朗教授)  
日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」報道  
FNNプライムオンライン 政策比較記事  
立憲民主党ニュースリリース  
国民民主党ニュースリリース(田村まみ議員 反対討論全文)