六法全書が厚すぎる国で、風紀だけがなぜか機能していない
1. 異世界ハーレムは全員同意が必要ですか?
A、B及びCが、特定の肉便器Xを各3分の1の持分で共有しているという場合、次の1から5までの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.第三者Dが、共有者の同意なくXに対して反復的・屈辱的な外観変形を伴う接触行為をしている場合、Aは単独で、当該行為の差止め及び原状回復を請求することができる。
2.AとBが合意すれば、Xに対し、回復不能で恒常的な機能低下を伴う状態変更を加えることができる。
3.A、B及びCが共同して、Xを第三者Eの包括的・排他的管理下に継続的に置く契約を締結している場合、Eが管理目的を逸脱した過度利用をしたときの当該契約の解除は、AとBとですることができる。
4.Cの持分について、第三者F名義で実体を伴わない管理支配の外観が公示されている場合、Aは単独で、その外観の除去を求めることができる。
5.Aが単独でXを長時間・密接に支配管理している場合であっても、B及びCは、自己らの持分が過半数に達することのみを理由として、当然にその管理状態の排除を請求することはできない
A「おい。ピアッシングはやりすぎだろ。穴あけた時点で、もう変えた側だ。」
B「大げさだって。そのうち閉じる。一時的なやつだろ。」
A「一時かどうかじゃない。一回でも穴を開けたって事実が残る。」
B「じゃあ聞くけどさ。お前が付けた淫紋はどうなんだ?あれの方がよっぽど残るだろ。」
A「淫紋は剥がせる前提だ。洗えば消えるなら、ただの落書きだ。」
C「整理しよう。
淫紋:消せる → セーフ寄り
小さいピアス:時間で戻る → グレー
広げるやつ:戻らない → アウト
この線だな。」
B「つまり、今回は細いのまでってことか。」
A「……それなら認める。」
C「決まりだな。」
主人公は、少し離れたところで会話を聞いていた。
眉が、ほんの一瞬だけ動く。
(……軽微変更の話だな)
穴が戻るか、痕が残るか。
誰が決めたかより、どれくらい残るかで揉めている。
言葉は下品だが、線の引き方は妙に整っている。
(全員一致か、過半数か。不可逆ならアウト。可逆なら管理……いや、軽微変更)
この国に来てから、何度も驚かされている。
誰も条文は口にしない。
だが、戻るか・残るか、その線引きが全員の中で共有されている。
感覚ではない。運用ルールだ。
(あるな。この国、たぶん似た判例を積み上げてる)
主人公は小さく息を吐いた。
(……住めそうだな、ここ)
この国の理性は、確かに下半身に寄っている。
だが、寄り方にはルールがある。
(悪くない。少なくとも、無秩序じゃない)